2007年「私的漫画BEST5」×4、百合以外

2007年も残すところ僅かとなってまいりました。
年末の漫画系サイトといえば、「今年の漫画BEST10」と言えましょう。


今年はゴルカム冬コミ新刊にて「漫画BEST10」に参加させて頂いていますので、サイト更新ではちょっと趣向を変えてみたいと思います。
今年「1巻」「最終巻」が発売された漫画それぞれと、「連載中の漫画」「短編集・1巻完結の漫画」の4つのカテゴリで、私の独断と偏見・趣味嗜好に基づいてBEST5を選んでみました。
百合は別でBEST10を選んでいますので、百合だけで後日アップします。


2007年に1巻が発売された漫画、私的BEST5


■5位



みつどもえ/桜井のりお(Amazon)


キャラのぷに度が高くなってきて小学生らしい柔らかさがありながら、ネタは黒かったりぶっ飛んでいたりと、一線を画すギャグ漫画。
ぱんつは大量に出てくるけどパンチラはしないのが、逆に良い。
個性的な三つ子がトラブルメーカーだったのですが、他のクラスメイトもどんどんおかしくなってきておりカオス。
私は杉崎が好きですね。百合的に。
母親曰く「家ではみつばちゃんのことばかり話しているのよ」ですよ!杉崎×みつばでお願いしたい。


 →1巻レビュー


■4位



GIANT KILLING/ツジトモ 原作:綱本将也(Amazon)


今一番好きなサッカー漫画…いや、一番好きなスポーツ漫画です。
弱小クラブが過去にエースだった選手を監督として迎え、現在の選手やサポーターとの確執がありつつも、強豪クラブに打ち勝つ”GIANT KILLING”を起こす熱い漫画です。
監督が主人公、選手以外のキャラの活躍も多く、サッカーにあまり興味がなくとも燃える展開!
本誌連載のここ数回が熱すぎでした。何だかんだで今年はレビューできなかったので、4巻はレビューします。



■3位



eensy―weensyモンスター/津田雅美(Amazon)


津田雅美先生の待望の新連載。現在は完結しており、2巻が年明けに発売されます。
メインの2人だけでなく、サブキャラでいくらでも話ができそうなのですがキッカリ12話で完結。
自分を地味で大人しいと思っていた女の子と、自分を王子だと勘違いしていたナルシストの男の子の運命の出会いと恋を描いた漫画です。
贅沢なコマ割と最小限のセリフながら、表現力が素晴らしい。


 →1巻レビュー


■2位



日常/あらゐけいいち(Amazon)


笑いのツボは人それぞれですが、この漫画が私のツボにクリティカルヒットで今年一番笑わせてもらったギャグ漫画です。
シュールでナンセンスなネタあり、唐突な出オチあり、畳み掛けるような先の読めない展開にやられました。
そんな中で、8歳の天才少女・はかせと彼女が作ったロボ・なののやり取りが歳相応に可愛くて癒されます。でもやっぱり笑わされます。


 →2巻レビュー
 →1巻レビュー


■1位



GAMBLE FISH/山根和俊 原作:青山広美(Amazon)


個人的に今一番楽しみな週刊少年誌はチャンピオンだったりします。
そのチャンピオンの中で一番楽しみなのが、この「GAMBLE FISH」です。
手に汗握る高いテンションと熱い展開で漫画として面白く、一方で斜め上をいく変態性を持つ素晴らしき漫画。
一部で大人気の人間離れした萌えキャラ・アヴィをはじめ、妙に可愛い中年のおっさん、唐突な百合展開、下剤にやられるヒロイン、アナル裂きを賭けたギャンブル…物凄い漫画です。


 →3巻レビュー
 →1巻レビュー


2007年に最終巻が発売された漫画、私的BEST5


■5位



皇国の守護者/伊藤悠 原作:佐藤大輔(Amazon)


日本をモチーフとした「皇国」と、「皇国」に攻め入る大陸の「帝国」の攻防を描いたファンタジー戦争漫画。
味方の脱出の為に足止めを命じられた部隊の奮闘を描いています。
間違いなく面白い漫画なのですが、まだまだこれからというところで唐突の終了。惜しすぎる。
再開を望んでやみません。


 →5巻レビュー


■4位



かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜/桂遊生丸 原作:あかほりさとる(Amazon)


瀕死の主人公(男)が女として蘇生、生きるために絆を紡ぐお話。
元は男の主人公が中性的なのでTSでありながら、女の子と深めていく関係に百合の雰囲気を感じさせる漫画です。
私はあかほりさとる作品は何となく読まなくてもいいと思っていました。中学生くらいの時はハマってたのにね。
で、そんな先入観で手に取らなかったら今頃は後悔していたと思います。面白い漫画でした。


 →「かしまし」に感じる百合要素を考えてみる



■3位



花の名前/斎藤けん(Amazon)


両親を亡くした少女が、親戚で偏屈な小説家の家にお世話になり、その2人の関係を描いていく恋愛漫画
少女も小説家の男も闇を抱え、一緒に沈んでいきそうな危うさを持っていますが、サブキャラ達が対比的に明るいのでただただ重くなっていくだけではない。
文学的な雰囲気を持ち、寄り添う花のような2人の関係が良い漫画でした。


 →3巻レビュー


■2位



ラバーズ7/犬上すくね(Amazon)


「全てのトラブルは卓球勝負で決着をつける」ルールのある、ヤクザの経営するコンビニ「ラバーズ7」。
卓球に負けてバイトすることになった高1の少女を巡り、同じく卓球に負けてバイトをしている高2の少年とコンビニのオーナー(32歳)の三角関係を描いた漫画。
嫉妬を誘発する胸がザワつく場面も多く、ヤキモキさせられるラブコメです。
後半のすれ違いは読んでいる身としても胸が苦しいものでした。


■1位



フラワー・オブ・ライフ/よしながふみ(Amazon)


白血病だったと主人公がカミングアウトする第1話、それぞれにそれぞれの重大な出来事がある漫画ですが、淡々と描かれているのは彼らの日常。
淡々としていている日常でもその人には輝いていて、幸せでありながらも辛いこともある日々。
終盤の展開は衝撃的でした。それでも彼らの日常は続いていく、そんなラストが好きです。


現在連載中の漫画、私的BEST5


■5位



少女ファイト/日本橋ヨヲコ(Amazon)


他校からの評判の悪い、ヒールのイメージを持たれている黒曜谷女子バレー部。
そんなレッテルを貼られたチームでありながら、トラウマ持ちの主人公に、ワケ有りだったりひとくせふたくせあるチームメイトと、弱さを持つ彼女らが仲間との絆を強め、足掻き、精神的にも強くなろうとする様が熱いのですよ!


 →3巻レビュー


■4位



よつばと!/あずまきよひこ(Amazon)


いつでも元気で無邪気に好奇心旺盛なよつばとよつばと一緒に楽しむ大人に癒される。
よつばは色々なことを覚えて行動範囲が広がっても、やっぱり楽しもうという姿勢や根底に流れるものは変わらない。
いつまでの見守っていたい、そんな漫画です。
しまうー可愛いよしまうー。


 →7巻レビュー


■3位



うさぎドロップ/宇仁田ゆみ(Amazon)


他界した祖父の隠し子(6歳)と彼女を引き取ることにした30歳の独身男の2人が、様々なことを手探りで生活していく漫画。
宇仁田先生は4人家族を描いた「よにんぐらし」も面白く、「うさぎドロップ」の2人は実の親子ではないものの確かに家族で、親子でないからこその距離感と戸惑いがキモとなっています。
他の家族・親子が当たり前にしていることを知らず、戸惑い、疑問を持つ様は子供を持たない読者をものめり込ませる面白さがあります。


 →3巻レビュー


■2位



水惑星年代記/大石まさる(Amazon)


キラキラと光を反射する水面や、懐かしさを感じさせる自然、そして近未来的なSF要素が融合した漫画。
つまづきながらも前向きに進んでいく登場人物、柔らかい絵柄が醸し出す雰囲気が大好きです。
時系列はバラバラでも同じ”水惑星”を舞台としており、ふと人間関係の繋がりを見つけるとニヤリとさせられますよ。


 →「翠水惑星年代記」レビュー
 →「環水惑星年代記」レビュー



■1位



惑星のさみだれ/水上悟志(Amazon)


「今連載中の漫画でオススメは?」と聞かれれば、間違いなくこの漫画を推します。
おそらく、連載が終わるまで私の中でそれは変わらないと思われます。
水上先生の漫画はシリアスの中に挿入されるユーモアが秀逸で、この漫画はストーリーも熱さを多分に含んでいて面白い。
散りばめられた数多くの伏線、それぞれの目的で動くキャラ達が魅力的です。


この漫画と2位の「水惑星年代記」が私にとって購読の最大の目当てで、他の漫画も面白いアワーズが個人的に今一番好きな漫画雑誌です。


 →4巻レビュー
 →3巻レビュー


短編集・1巻完結の漫画、私的BEST5


■5位



いちごの学校/きづきあきら+サトウナンキ(Amazon)


赤ちゃんのいる若い夫婦。2人は元教師と元生徒。
一見幸せそうな導入ですが、そこはやはりきづきあきら漫画。
甘々でラブラブな教師×生徒モノではなく、現実の教師と生徒であれば抱えると思われる闇を描いた漫画です。
視点は一貫して夫のものであり、年齢的にはまだ高校生である妻に”不可解なもの”も見受けられ、決して幸せなだけではいられない関係を物語っています。


 →レビュー


■4位



トムソーヤ/高橋しん(Amazon)


あの感情を覚えていますか?
あの無鉄砲で無邪気で、楽しむことに周りが見えなくなるくらい突き進む良い意味でのバカさを。
確かに子供の頃にあったあの気持ち。走り回った記憶。
色々なことを知って大人になるにつれて、やらなくなった、やれなくなったこと。
無くしたのではなく、忘れていたあの感情をこの漫画は思い出させてくれます。


 →簡易レビュー


■3位



バス走る。/佐原ミズ(Amazon)


今年1巻が発売された「マイガール」も面白い佐原ミズ先生の短編集「バス走る。」は素晴らしい逸品です。
「付き合い始めるまで」「相手を意識し始めるまで」といった「その人の中で明らかに何かが変わる瞬間まで」を描いた青春恋愛漫画
透明感のある作風と相まって、切ない。
そして、「この先が読みたくなるほど気になる」良い短編を集めた本なのです。


 →レビュー


■2位



黒博物館 スプリンガルド/藤田和日郎(Amazon)


今年は青年誌を掲載誌に活躍した藤田先生。
邪眼は月輪に飛ぶ」も面白い漫画でしたし、この「スプリンガルド」も熱く面白い漫画です。
大切な人の為に異形を纏い、その戦いは大切な人に知られることはない熱さ。
異形を纏って戦った男の”心”が次の世代へ受け継がれていくかのような展開も熱い。
また再び開館の予定があるとのことなので、また可愛いキュレーターさんに会える日を楽しみに待ちます。


 →簡易レビュー


■1位



ぴよぴよ 水上悟志短編集(2)/水上悟志(Amazon)


アワーズプラスに3話掲載された表題作「ぴよぴよ」を含む短編集です。
ニワトリにならない巨大ひよこの源八朗と、少女・すずめの成長、娘を見守る父を描いた家族漫画が「ぴよぴよ」。母親は世界を駆け回る仕事なので家にはいません。
水上先生らしい突き抜けたコメディであり、ハートフルな漫画。
ラストには感極まって身震いしました。
それぞれの短編が秀逸です。オススメ。


 →レビュー