敷居の住人 ★★★★★


敷居の住人/志村貴子(Amazon)


志村貴子先生の描く漫画は、登場人物がありきたりなフィクション的性格でなく、
妙なトコロでリアルでドキッとさせられる部分が多いです。
登場人物がダメ人間気味であったり、グダグダな生活、物事から逃げることが多かったりと、
人間臭さのあるキャラクターに溢れています。


キャラクターの心理描写・思考が巧みで展開も素晴らしい。
だからこそ読後の精神的影響力も大きいのかと。
私のような感受性豊かっぽい、影響を受けやすい人間はモロにその影響を受けてしまう。
面白いのだけど、主人公・ちあきのダメな社会生活ぶりが自分の生活と対比して考えてしまうのでした。
そんな感想を持つのは私くらいでしょうけども。


細かく感想を書くのは各巻ごとに描きたいと思うので、
全体的で大雑把な感想になってしまうのはご愛嬌。


主人公・ちあきの中学3年から高校卒業までを舞台にした漫画。
ちあきは、顔は良くモテるが、ひねくれ者で飽きっぽく、
学校はサボる、頭は緑、1P目にしてタバコ吸ってたりとそんな主人公。


モテるが自分が好きになった相手とはうまくいかない傾向にあり、
愛憎渦巻く展開(とまではいかないか?)になり情緒不安定になってみたり、
と憎めないキャラどころか精神的に何か感染するのです。
様々な出来事が起きるも取り立てて事件っぽく扱われず、
普通の出来事のように描かれ、普通に進行してゆくのも
読み手に影響を与える重要な要因かと。


決してラブコメらしいラブコメではない恋愛漫画で、
久しく恋にも愛にも縁のない私に恋愛をしたい、と思わせ
もっとしっかり生活しようなどと思わせた作品。


志村先生の漫画は総じて素晴らしい。



敷居の住人 (1) (Beam comix)

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