謎の発熱 - 謎の彼女X(1)
「ディスコミュニケーション」、「夢使い」の植芝先生の、謎の恋愛漫画。
読んでいる最中に突然、謎の発熱をしました。
謎。
植芝先生の漫画は端的に表現するならば一言、「変」。
普通の漫画では違和感を感じることでも、受け入れられる魅力があります。
この「謎の彼女X」も他に例を見ない「変」さに溢れた、謎の恋愛漫画です。
主人公・椿明の学校に転校してきた少女・卜部美琴。
彼女は変わった女の子です。
転校初日にもかかわらず、授業が終わった途端に机に突っ伏し、クラスメイトの昼食の誘いを断り、
「個人的に面白いこと」があったため、授業中に突然笑い出したり。
そうして、卜部は「ヘンな奴」のレッテルを貼られるのでした。
そんなある日、椿は鞄を取りに放課後の教室に戻ります。
そこでは…
卜部がよだれを垂らしながら寝ていた。
作者自ら「居眠りしながらよだれを垂らしている女の子って可愛いと思いませんか?」と言っていますが、わからなくもない自分がいるのですよ。
長年、植芝漫画を読んできて感化されてるのかもしれません。
この漫画において”よだれ”は重要なポイントです。覚えておきましょう。
起こされた卜部は下校します。
残された椿の取った行動は…
卜部のよだれを舐める。
普通の漫画でこんな描写があったら変態だと思いますが、植芝漫画では普通です。
というか、普通だと感じる私が既に変です。
まぁ、変な漫画なのは読む前から判っていたことですので。(誉め言葉)
数日後、椿は高熱で倒れます。
そして5日間寝込むことに。
卜部の訪問。
身体の異常は”よだれ”にあると判っているご様子。
禁断症状らしいです。
彼女の”よだれ”に変な成分が入っているとかいうことは全くなく、
ただの恋の病。
「わたしのこと好きになったんじゃない?」
この流れでそんなこと言われたら、ヤラれます。
妙な魅力に溢れすぎていて、堪りません。
カワエエですよ。
この漫画は直接的な描写はほぼ皆無といっていいのに、異常な程にエロスを感じさせる。
それは「よだれを舐める・舐めさせる」という行為が、性行為を暗示しているからに違いはなく、その辺りの作りは上手いとしか言い様がない。
卜部は知れば知るほど、謎が増えてゆく少女です。
趣味は「ハサミ」。
パンツにハサミをはさんでいる。
なんじゃ、それ!
これはさすがに叫ばざるを得なかったですよ。本誌で読んだ時も叫んだ記憶が。
そのハサミを操る技量は確かで、高速で繰り出されるハサミは細かい造型に切り刻むことすら容易です。
パンツは白。
さらには、椿の告白・独創的なアプローチに感激。
吐血、かと思いきや、よだれが溢れ出した。
「そういう人だから」
とにかく、謎。
しかし、何が起きても不思議じゃないのが植芝先生の漫画の魅力。
読む人を選ぶけれども、文句なく面白い。
私が読んでいる最中に突然発熱したのは事実で、妙な偶然ながらも謎めいた何かを感じます。
あなたも”普通でない”この世界に触れてみませんか?
ちなみに今回のレビューは全て、読みきりだった「第0話」のお話。
謎に満ちた恋愛はまだ始まったばかりです。
- 作者: 植芝理一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/08/23
- メディア: コミック
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