2006年私的漫画ランキング
いち漫画好きとしては、今年の漫画を振り返らずにはいられません。
かなり趣味・嗜好に偏っていますが、私の今年の面白かった漫画はこんな感じになりました。
○第10位
皇国の守護者/伊藤悠 原作:佐藤大輔(Amazon)
恥ずかしながら、最新刊まで読みきったのはつい最近だったりするのですが。
神代の島国「皇国」と「皇国」に攻め入る大陸の「帝国」の架空の戦争漫画。
同名小説が原作でそちらは未読ですが、4巻まで読了時点で先が気になって原作を読みたくなるくらいに面白い。
友軍を逃がす為に十中八九死ぬ任務を戦う新城直衛大尉と第十一大隊の奮闘が見物。
絶望的な戦況でも策を巡らし戦う新城には、軍事知識は全くなくとも楽しめます。
戦車はなく、剣と銃と馬と虎で戦う戦争というのも戦争漫画好きでなくとも楽しめる要因かと。
○第9位
エンジェルお悩み相談所/水上悟志(Amazon)
アワーズプラスのぴよぴよを推したいところでしたが単行本が来月発売だったので、それと合わせてこの「エンジェルお悩み相談所」を。
水上先生は面白いシリアス混じりのコメディ漫画を描く方なのですが、あまり評価が高くない気がするのですよ。
この漫画は厳ついおっさん天使が主人公で、助手は可愛いのに性格が悪くて異名を持ってる天使、最強キャラが天界羊…と水上先生の持ち味が遺憾なく発揮しているのです。
そういうギャグな部分もありながら人情物語はキッチリと締める作風は、もう少し売れても良いと思うファン真理なのですがいかがでしょうか。
○第8位
恋愛ディストーション/犬上すくね(Amazon)
個人的には連載終了しているものとばかり思って大恥をかいたのですが、それもいい思い出になってしまうくらいに5巻は面白かった。
私にとって恋愛漫画として最高峰に位置する漫画で、精神的に深いところに訴えかけるのにコミカルさも併せ持っていて何とも心地よいバランス、読んでいて身悶えする犬上すくねワールドを堪能できるのです。
○第7位
ハチミツとクローバー/羽海野チカ(Amazon)
「全員片想い」というキャッチコピーだったハチクロも、今年10巻で無事完結。
終盤のシリアスで重い展開は、それまでのコメディ色の強い雰囲気からは想像も出来ないどんでん返しで、ただただ圧倒されるばかり。
ラストのクローバーには涙したものです。
キーワードは「青春」でしょう。
いくつになってもその気持ちを忘れなければ、青臭いやつに戻れそうな気がするのでした。
○第6位
桜蘭高校ホスト部/葉鳥ビスコ(Amazon)
今年のアニメと言えば涼宮ハルヒなのですが、同時期に放映されていたもう一人のハルヒを忘れてはいけません。
私にとってはハルヒと言えば涼宮ではなく、藤岡です。
アニメは観る習慣がないのでレンタルで少ししか観れていませんが、興味を持って読み出したのは間違いなくアニメ化のせい。
それが個人的にクリティカルヒットな漫画で、藤岡ハルヒは私内で一躍トップクラスに躍り出るくらいのキャラでした。
お金持ち学園に奨学生で入学し男子の制服で通う無頓着さ、可愛い外見で毒を吐きまくり、しかも天然、クールなようでいて熱い…ある意味、完璧超人です。
ホスト部のキング・環のバカ殿っぷりも好ポイントで男性でも楽しめる漫画なのですが、タイトルで損してるよなぁ。
感想は書きそびれてしまったのですが、この漫画はとてつもなく泣ける漫画です。
その外見と性格から「貞子」というあだ名を付けられている少女・爽子が主人公で、本当の彼女を理解してくれる人達と出会い、その友情の美しさと言ったら!
もうボロボロ泣きました。
周囲の持つイメージと、爽子を理解している友人が不良のレッテルを貼られている生徒だったり、女生徒から憧れを受けている男子だったりして、いやがらせもあるのですがそれも何とか乗り越えて友情を深めていく様に、本当に心を打たれるのです。
○第4位
謎の彼女X/植芝理一(Amazon)
待ちに待った新作は、植芝節全開の期待を裏切らないぶっ飛んだ漫画でした。
自分のヨダレを彼氏に舐めさせ、パンツにハサミを仕込むヒロインの卜部はインパクトがありすぎます。
ともすれば変態的な行為も、植芝先生の漫画なら普通と思わせられるあたりに人徳を感じます。
心の距離が近づいても身体の距離が縮まらない二人の恋愛模様が気になって仕方がありません。
○第3位
デトロイト・メタル・シティ/若杉公徳(Amazon)
今年、一番話題に上った漫画と言えば間違いなくDMCであり、強大な影響力を持っていたのはクラウザーさんです。
連載初期から面白いと思っていましたが、まさかここまで話題になるとは。
根岸の豹変ぶりが笑いのポイントですが、最大の功労者はDMCのファン達でしょう。
ヤツらの発想、順応力は只事ではありません。
一体、いくつ伝説があるんだろう。
DMC、デスメタルが漫画界に浸透していますが、日本中がブームに包まれるのも時間の問題かもしれません。
今年は百合漫画が結構多くて、百合漫画好きとしてはホクホクな一年でした。
その中でも別格だったのは志村貴子先生の「青い花」。
ガチでイチャイチャしている百合漫画も大好きなのですが、萌え路線や肉体関係に走らずにしっかり読ませる漫画としてキッチリと作られているのが、純粋に漫画として面白い。
ふみが恋をしているのが幼馴染のあーちゃんでなく、先輩でしかも付き合って別れて、という展開からは目が離せない面白さなのですよ。
オタクと一般人の架け橋、一般人にオタクに対する幻想を抱かせ引き込む要因になったりならなかったりした漫画「げんしけん」。
本誌連載で笹原と荻上さんがくっついたものの、途中をすっ飛ばしそのまま最終回を迎えたのも記憶に新しい。
その空白期間を単行本で書き下ろし収録という業をやってのけたのも、本当に印象深いです。
というか、最終巻を読んだのがつい先日なのでちょっと補正が入っての1位な気も(笑)
最後までオタクに共感と羨望と幻想を抱かせた漫画だと思います。
私の中ではオタクを題材にした漫画の中で最高峰に位置し、今後も頻繁に読み返すであろう作品。
十分に納得のいく終わり方で、読み返せば連載されていた間の自分のリアルでの出来事が思い起こされる程の甘酸っぱさを伴う漫画となりました。