約10年前のオタク漫画「みずほちゃん NON STOP!」を読み返してみる



みずほちゃん NON STOP!(1)/山口りな(Amazon)


先日の「オタクマンガ会議」で一人一冊オタクを題材とした漫画を挙げたのですが、私の挙げた「みずほちゃん NON STOP!」が非常にマイナーだったからか皆さん知らなかったので、ちょいと紹介を。


というかこの漫画、連載終了していて最終回も読んだ記憶があり最後のページは結構鮮明に覚えているのですが、
何故か2巻が出ていません。
復刊の声もチラホラありますが、マイナーなためかあまり票が集まってません。
今見たら最後に投票してるの、私だ(笑)



この漫画、「電撃コミックガオ! 」に1996年4月より連載され、1巻は1999年7月に発売されています。
(ガオ創刊あたりから連載というのは記憶違いでした。申し訳ありません)



■ストーリー要約


ストーリーを要約すると、一般人の守川くんが一目惚れした下級生のみずほちゃんに告白。



実はみずほちゃんは筋金入りのオタクで「ダーリンに似ているから」という理由でOKされるというもの。(後の展開からそのダーリンは「サイキックフォース」のキース様だと思われます)
基本は、オタクで同人作家のみずほちゃんに翻弄されながらもベタ惚れな守川氏の受難を描いており、守川・みずほ両人それぞれを狙うキャラが登場してラブコメが展開されたりします。



守川くんの受難は一目惚れした相手がオタクであり付き合った理由が「二次元キャラに雰囲気が似ていた」だけに留まらず、初デートが同人誌即売会、実は妹もオタクでみずほちゃんの友人、と序盤から転がり落ちていっています。
話が進むにつれ、コミケに拉致されて売り子をしたり、コスプレをさせられたり、原稿を手伝わされたりとお約束の展開ですが、オタクにならない守川くんは立派。



■オタクネタとラブコメはよく馴染む


オタクネタとラブコメは実に良く馴染む。
守川くんとみずほちゃんは、みずほちゃんのオタクっぷりに守川くんが戸惑ったりしますが、基本的にお互いベタ惚れで微笑ましい。
それぞれに思いを寄せるキャラが登場してからはラブコメも加速。



守川くんに一目惚れをした麻見ちゃん。
熱烈なアタックと手作りの料理で迫るバイタリティ溢れるキャラで、守川くんの妹の小百合ちゃんと友達というややこしいポジション。
麻見ちゃんの登場により、付き合ってもマイペースにオタクライフだったみずほちゃんが原稿に手が付かない程に嫉妬したりとラブコメ的にオイシイ。
この辺から告白された側であるみずほちゃんも、本当に守川くんを好きになり始めているような感じがします。
やはりラブコメの華は三角関係なのです。



連載がそこそこ進んでから久井くんというキャラが登場。
彼はゲーセンの対戦でみずほちゃんと出会い、守川くんに宣戦布告。
しかも、みずほちゃんは久井くんのに全く好意に気付いておらず仲が良いというあたり、守川くんの心労も溜まる一方なのでした。
考えようによっては好意に気付いてもらえていない久井くんも哀れな気もしますが。


このキャラのフルネームは「久井教聖」で、サイキックフォースでキースの声優を担当した津久井教生氏のパロディ。
コスプレイヤーであり、流れでみずほちゃんがコスプレする際に守川くんもコスプレをお願いされ、3人でやったコスがサイキックフォース合わせ。(キース×2、ウェンディ)
山口先生がサイキックフォースに思い入れがあることが伺え、当時大ハマりしていた私がこの漫画にハマったのは必然だったのかもしれません。
ちなみに守川くんのフルネームは「守川俊之」と、声優の森川智之氏のパロディ。



■今でも通じるオタクの生態


この漫画は記憶が確かならば私が初めて読んだ「同人オタクを題材とした漫画」であり、非常に思い入れが深い作品です。
それでいて連載開始が10年前でありながら、今読み返しても結構リアルな描写をしているなと感じるどころか、現在のオタクに通ずる描写も多くオタクの本質は昔からあまり変わってないのではないかとすら思わされます。




いつの時代でもある会話ですね。
これはオタクである以上男女関係なく、永遠のやりとりな気がします。
私もしたことあるなぁ、頼む側で。



1巻後半、大学に進学した守川くんの前にかおるさんという美人さんが現れます。



実は男でバイ。
守川くんとの絡みに目を輝かせるみずほちゃんですが、この辺の描写はオタク少女を扱った漫画のお約束ともいえますね。
フルネームは「山崎馨」でおそらく山咲トオル氏、見た目はSHAZNAのIZAMを意識しているだろう辺りが時代を感じさせます。


最近の漫画で身近な男子でBL妄想をする作品は「妄想少女オタク系」が思い浮かびますが、自分の彼氏で喜ぶあたりこの漫画も業が深いかも。




一般人とオタクのカップルだからこその問題かもしれないやり取り。
普通に嫉妬もするみずほちゃんですが、好きなゲームの新作情報が気になってデート中に上の空。
オタク同士なら理解できるけれど、一般人には理解できないのかなぁ。
ただ、オタク同士でも恋人にとって自分が二次元キャラより下だとショックではありますが。
非オタク側にとっては破局に繋がりそうですね。



■オタクの入り口と通り道


この漫画は各話のタイトル部に色々なゲームやアニメのコスプレをしたみずほちゃん達が描かれていました。
初回はスト2でその後、FF、ポケモンエヴァKOFとメジャー所から、プリクラ大作戦、マジドロ、十二国紀(当然アニメ化前)などややマイナー作品、ひいてはMALICE MIZERまで多種多様。
もちろんサイキックフォースも。
時代を感じさせます。


私事で申し訳ないのですが、読み返して思ったのが「オタクとしての入り口と、オタク初期に歩んだ経験」はその後のオタク趣味に影響を与えるんじゃないか、と。



名古屋の即売会というのは特殊で、今はあまりわかりませんが、当時の即売会は大半が女性向けジャンルでした。
私が始めて即売会に行った時にハマっていたジャンルは聖剣伝説3エヴァ
その時の即売会での最大勢力は確かガンダムWだったはず。


で、初めてできたサークル参加している友人が結構特殊で、どちらかというと女性の人口が多いジャンルにハマっている男子でした。
当時の私のハマっていたジャンルのは、聖剣3、FF7、FE聖戦、サガフロ、ペルソナ、ソウルハッカーズ幻想水滸伝と少量の男性向けジャンル。
その友人はサガフロ、ペルソナ、ハッカーズ、幻水の他にレッツ&ゴーでノーマルカップリングとソフトなBLというもので、彼は女友達も多かったのです。
影響でレツゴーなんかは私も観てましたし、同人誌も読ませてもらってました。
ちなみに彼は今どこで何をやっているかわかりませんが、風の噂ではゲイだとかなんとか。



そういった即売会初心者の頃から同人的に女性の方が多いジャンルにハマり、レツゴーのBLカップリングの話をしたり、やおい同人誌を読ませてもらったりしていました。
一方で他の友人と男がハマるジャンルの話を普通にしていたりしましたが。



何が言いたいかというと、気付いてみると二次元の♂×♂のカップリングについてあまり抵抗を感じない男性ができあがっていたのです。
さすがにハードなやおいやオリジナルのBLは抵抗がありますが、パロディはあまり抵抗がなくて、成人してからも(ファンというのもありますが)高河ゆん先生のナルトのカカシ受けの同人誌とか普通に買ってましたし。


よく考えると、カップリング妄想も男女入り乱れてるような思考してるな、自分…



オタクの入り口らへんで軽いモノから慣らしていけばこんな男性ができあがるようです。
子供の教育には注意してください。
彼氏の洗脳を考えている方、私の場合3〜5年くらいかかってるような気がします。



大分、話が逸れたなぁ…



■何故か2巻が発売されていない


冒頭の通り2巻が発売されていません。
この続き、みずほちゃんが卒業してからの話も覚えている部分も結構あるんですけどね。
東京の知人宅に泊まってプレスでゲームショウに行ったり、初キスの回とか、最終回のオチとか。


私にとっては今でも定期的に読み返す漫画なので首を長くして待っているのですが、ゆうに7年も経過してしまいました。


読んだことがある方、この記事を読んで興味を持ってくださった方、復刊にご協力くださると嬉しいです。
そもそも発売されていないので復刊というのは少し語弊がありますが。
お願いします。



■関連
復刊ドットコム「みずほちゃんNON STOP! 2巻」


みずほちゃんNON STOP! 1 (電撃コミックス)

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