男子は皆、乙男。 - オトメン(乙男)(1)



オトメン(乙男)(1)/菅野文(Amazon)


何故恋をすると少女漫画が読みたくなるのだろう…



剣道全国一・柔道初段・空手二段、強くてクールでかっこいい男子、飛鳥正宗。
女生徒の人気も高く、校内に名の響き渡るこの彼がこの漫画の主人公です。


しかしこの飛鳥正宗、少女趣味の「オトメン」だったのです!

おとめん《乙男》
乙女的趣味・嗜好・特技を持つ男性。
乙女チック男子達(メンズ)。


作中の解説によるとオトメンとはこういうもののようです。
「女はリアリスト、男はロマンチスト」という意見もありますし、乙女的嗜好や少女漫画のような恋愛が好きな男性も多いことかと思います。
私もそういう系統の男です。
が、この飛鳥は格が違う。



少女漫画を立読みし、ファンシーショップでつい買い込んでしまう程の乙女。
彼は料理、裁縫、掃除が得意なオトメンなのです。



とある事情で母子家庭であり、母親から「男の子らしい男の子」を求められている飛鳥は、乙女趣味を隠してきました。
それにより、他者からのイメージは「強くてかっこよく男らしい男子」。
そのイメージと裏腹の飛鳥の内面描写や、カッコイイ男子が乙女チックというギャップが面白い。
どういう形であれギャップ萌えは良いものです。



女生徒が絡まれているところを助けた飛鳥は、その女子に恋をし何だかんだで、その少女・都塚りょうと、飛鳥に絡んでくる女たらしの橘充太に乙女趣味がバレてしまいます。
こうして、妙な恋愛・友情物語が展開されていくのがこの漫画のストーリー。


都塚りょうは「男らしさ」に憧れていて、格闘技も嗜む豪快さを持った少女。
乙女な男子と男らしい女子という二人の関係が非常に面白く、飛鳥もりょうもギャグ漫画的な「乙女な男子」「豪快な少女」ではなく、口調や見た目は普通の男子・女子で内面や本質がそれぞれ乙女・男らしい、というのがまた良いですよ。


こういう典型的な少女漫画の登場人物とはズレた二人でありながら、その描写は少女漫画そのものというのが際立っています。



彼のバックは、花が咲いていたりキラキラしているなんて珍しくもありません。
りょうが飛鳥に「守ってあげたくなるんです」と言った場面なんかは堪らなくて、悶えてしまいました。



私は「良いラブコメは男女二人では成り立たない」という持論があり、三角関係であったりキューピッド役だったりと、3人目のメインキャラが必要であると考えています。
この漫画においては、橘がそのポジション。
ある秘密を持つ彼は、その秘密の為に二人をくっつけようとしますが、乙女な飛鳥は踏み込めずりょうは少しズレていて気付きません。
中々進展しませんが三角関係にはなり難そうで、個人的にはこの漫画には三角関係は似合わなさそうなので三角関係にならなければ展開が遅くてもいいかなぁ。



文句なく面白く、またひとつ良い少女漫画が出てきたという印象です
少女漫画的ラブコメが好きな人にはオススメ。
男子は皆、乙男なのです。



オトメン(乙男) 第1巻 (花とゆめCOMICS)

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