ぴよぴよ 水上悟志短編集(2)
アワーズプラスに3話連載されていた表題作「ぴよぴよ」を含む、水上悟志先生の短編集第2集が発売されました。
水上先生の漫画は面白くて、待ちに待っていました。大好きです。
連載時に「ぴよぴよ」の1話と3話のレビューをしていたのですが、改めてまとめて読むと新しい発見がありますね。
富田林くんが1話ですずめに言われた通りの政治家になっていたり、父の頭髪とか、伏線が良いです。
普段笑わず、すずめが何とかして笑わそうとしていた父が、3話目で笑顔になったシーンはジーンとくるものがありました。
この漫画の登場人物はどのキャラもいい味を出していて、特に男性陣がカッコよすぎます。
父や富田林くんみたいな男になりたいものです。
「ぴよぴよ」は巨大なひよこ、とヴィジュアル面で惹きつけられその行動のカッコ良さに1話目から魅せられたものです。
水上先生の漫画は導入がコミカルで入りやすい作品が多く、ギャグ・コミカルさが占める割合も多くて読みやすい作品が多い。
それでいて人情話や感動する話を織り交ぜていて同居しているのが、私は素晴らしく好きなのです。
その”いい話”も作品作品に合った良さで身近に感じられるものが多いのも良いですなぁ。
”身近に感じられるいい話”という部分では「がんばってちゃんとやめよーぜ」「えらぶみち」の2本が本書ではそれに当たりますね。
自分をワキ役と決めつけダラダラ過ごしてしまっている少年が一歩踏み出す「がんばってちゃんとやめよーぜ」や、「えらぶみち」の『今のおれの生き方も他ならぬおれ自身が選んだ道なんだ!』のセリフには、影響を受けやすい私にはすんなりと入ってきました。
うん、明日からも頑張ろう。
水上先生と言えば人外キャラであり、とりわけ見た目も人外なキャラが魅力。
「風穴頭と百鬼町」は完全に妖怪キャラが主役で、その葛藤の描き方が人間キャラのそれに劣らず読ませるものであるというのが凄い。
この話は短編の中で「百鬼町シリーズ」というシリーズになっているもので、短編で続いている作品に弱い私にはひどくツボ。
さらにはいくつかの短編が、連載作品である「散人左道」「惑星のさみだれ」と設定が話の大筋に絡みすぎない程度にリンクしているのも私のツボを付いて仕方がありません。
水上先生は長編ももちろん面白いのですが、個々の作品の作りがしっかりしていて読み切りなんかはスッキリ読めるので、私は短編が大好きです。
定期的に短編集を出して頂けると凄く幸せ。
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- 作者: 水上悟志
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2007/01/26
- メディア: コミック
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