ガウガウわー太2(2)
無印のエピソードは「飼い主とペット」のものが多かった印象ですが、「2」になってそれよりも広い視野での動物との関係が描かれているように思うのです。
1巻から引き続きの修学旅行編は、太助の親父の過去話でもありますが、「絶滅したエゾオオカミ」の事例を出しての「野生動物と人間」の関係を訴えかけるものでした。
太助とみさと先輩や委員長との関係で大筋のストーリー展開もありながら、動物を交えた部分では、読者に実際の「人間と動物の関係と、実際の動物の生活に与える影響」を伝えることに重きをおいているかのよう。
「飼い主とペット」から「人間と動物」に視点が大きくなっていたエピソードだからということと、「”日本のオオカミ”はもういない」のモノローグからそう感じるんだろうなぁ。
梅川先生が動物を好きだからこそ、そういった「動物との関係」を伝えたいのだろうなと思われてなりません。
それは、次のエピソードでも顕著です。
それはそうと、委員長は可愛いですね。
個人的にみさと先輩はあまり好きでなくて(好きな方、すいません)、今巻の太助に対する態度もどうよ?と思ったものですが、その直後の委員長の対応が人間ができていて、委員長株が上がったものです。
欲を言えば、もっと出番を増やして頂きたい。
で、梅川先生が「ずっと描きたかったエピソード」と語る「ペンタくん」のエピソード。
泣きました。
私の家が犬を飼っていることもあって余計に。
団地の子供達が世話をしていた野良犬・ペンタくんが保健所に処分されるエピソードで、実体験をもとに描かれたもの。
保健所の職員がペンタくんを確保しトラックに載せる描写は、自身の中で反芻してしまい戦慄を覚えるものでした。
トラックにのせる部分は、”乗せる”ではなく”載せる”であり、”入れる””放り込む”とも取れる程。
夕斗の、ペンタくんを助けるためにした行動が結果として捕獲の手助けになってしまったことがいたたまれなく、それを差し引いても、目の前でこんな場面を見せられたらトラウマになるでしょうね…
さすがに殺処分の場面は見せないものの、どういう方法で保健所に連れて行かれた動物が処分されるのか、どういう人達が保健所で動物を処分されているかが説明されており、これを読むまで知りませんでした。
他の国では生かす方向で行われている動物の対応が日本では9割が殺処分で、その方法は安楽死とはとても言えない窒息死であり、さらには保健所で働いている人達は獣医師で、イコール「動物が大好きな人」ということが、どうしようもなく遣る瀬無い気持ちにさせられます。
いち動物好きとして、今の日本の保健所のシステム、ペットを捨てることに対する考え方が変わることを願わずにはいられないものでした。
私はずっと「動物が死ぬ場面・虐待される場面」は、人間のキャラクターのそれよりも、いたたまれない気持ちにさせられていました。
このエピソードを読んで思ったことは、動物達が「人間に対して、自身で運命を変える力を持たない」ことからくる感情だろうか、ということ。
少年漫画の主人公であれば「自分の道は自分で切り開く」ことができますが、彼らにはできない。
もちろんフィクションの中であれば表現のひとつとして割り切れますが、実際にそういったことを見たりを聞いたりはご遠慮願いたいものです。
最近はREXを読んでいないので、不意打ち気味な重い話で思いがけず考えさせられました。
- 作者: 梅川和実
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