拝み屋横丁顛末記(8)



拝み屋横丁顛末記(8)/宮本福助(Amazon)


「男は三十過ぎてから」という言葉をチラホラ耳にします。
なるほど、渋さが加わった男は魅力的です。哀愁が漂っていればさらに倍。
渋いオヤジはカッコイイですものね。


三十台、四十台、と年齢を重ねる毎に渋さを増していくかと思いますが、一定年齢以上でそれは別のものに変わることがある。
そう、”渋さ”ではなく”可愛さ”に変わる人もいるのです。
この”可愛さ”が出る頃には既に爺さんと言える年齢で、角が取れて丸くなったような、または(ボケも加わって)お茶目な可愛さと言えるでしょう。


そんな「爺萌え」をオビで謳うのが、この「拝み屋横丁顛末記」の8巻です。


1話完結形式で、拝み屋が集まる横丁の住人が騒ぎを巻き起こす漫画で、メインキャラである横丁住人の平均年齢が異常に高い。
高校生の正太郎と小説家の東子を除けば、大家さん(30後半くらい)、三爺と呼ばれる爺三人組(隠居の身。65〜70以上?)、他には幽霊や中年や初老なキャラが8割方。
どこかの巻に大体の年齢が書いてあったような気もするのですが、記憶が定かではないので推定ですがこんな感じ。
さらに女性キャラの割合が少ないので、ある種のむさ苦しさも感じます。いや、抹香臭さでしょうか。



この巻では特に爺が大活躍。
三爺それぞれにメインの回があり、拝み屋として現役時代の縁のキャラを交えて話が展開します。
見せ場あり、現役時代の回想ありで、爺のキャラクターを掘り下げます。


収録されている6本のうち3本が、各爺を掘り下げた話で、他の3本のうち2本も三爺がメインの話。
トラブルメーカーだらけのこの作品のメインキャラにおいても、この三人の爺さんの問題を起こす数は多い。
爺さんならではの「若い頃には〜」「若いモンには〜」的なプライドや、生来の迂闊さによるものが多く、お約束ともいえる面も多いのですがそれが好きな人には堪らないものと言えます。
迂闊で憎めない爺さんに、妙な和みを感じるのでした。



拝み屋横丁顛末記 8 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

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