新しい世界への出会い - ことゆいジャグリング



ことゆいジャグリング/岬下部せすな(Amazon)


まんがタイムきららキャラット」に連載されており、5月号で最終回を迎えた4コマ漫画です。



両親は年中仕事で一戸建てに一人暮らしの高校生・唯。
彼女は人付き合いが苦手で、対人恐怖症、友達がいません。
そんな唯の家の隣の空き地にサーカスがやってきます。
サーカス団員の少女・小鳥と、あるきっかけで夕食を共にすることになり、本当に久しぶりに人と食事をとる唯。
翌日、唯の学校に小鳥は転校してきて、同じクラスで席も隣になって仲良くなっていく-----そんな漫画。



人付き合いが苦手な唯とは対照的に、巡業で様々な国を転々としている小鳥は人懐こい少女。
話しかけて近寄ってくれる小鳥に対して、どう接して良いかわからず、それでも離れて欲しくない唯が、小鳥との距離を少しずつ縮めていけるようになっているのは読んでいて頬が緩む。
初めは1m以上の距離を置いていたのが、回を重ねるごとに少しずつ縮まっていくのは、もう!


少しずつ仲良くなっていく二人ですが、サーカスの公演のために次の土地へ行かなくてはならない小鳥と、それを知った唯の行動は…
この漫画は単行本1冊で完結です。
ラストの別れのために4コマ特有のゆるい日常を続けることなく、短くまとめる予定だったのかな?
長すぎず上手くまとまっていて、その特殊な環境下ゆえの小鳥の行動と、大切な人へ歩み寄れた唯のラスト付近は良いですよ。



■コミュニケーションは自分から行動できるようにならなくては。


対人恐怖症で人付き合いが苦手な唯が、人懐こい小鳥と出会ったことで、小鳥以外の人とも少しずつ話ができるようになっていきます。
私も人付き合いが下手で、人付き合いが苦手な人は小鳥のように”人懐こい人”とは相性が良く仲良くなれる…と考えたりするのですが、それは”人付き合いが苦手な自分”は特別何もしていなくて受け身であり、誰とでも仲良くなるきっかけを持っている”人懐こい人”の能力なんだ、と。
とりわけ、もう一人の人付き合いが苦手なキャラ・ひるねが小鳥と仲良くなっていく唯を見て、「自分も変わりたい」と思うものの中々変われないのを見るにつけ、共感とともに、やはり受け身ではいられないし、自分から変わらなくてはと思うのでした。



■誰が何と言おうと、百合


自分が変わるキッカケをくれ、世界を広げてくれた人は特別なもの。
こういう展開で少女二人、百合ですよ。
小鳥に触れることは勿論、近づくだけ、笑顔を向けられるだけで、赤面しドキドキする唯は可愛らしい。


基本、唯視点で展開されることが多いからか、はたまた、笑顔が多く感情を読み取りにくいこともあり、小鳥がどの程度の好意を唯に持っているかが読み取りづらいのが残念と言えば残念。
初めて来た土地で、初めて出会い仲良くしてくれた友達…その好意は友達以上なの?と考えてしまうのは、私が百合脳だからか。
手錠の回で離れられなくて近くで過ごし、夜も共に寝たこと、ラストの小鳥の想いから”友達以上”の好きだったと妄想しておきます。


そうだ、手錠の回で小鳥が繋がれている腕が、左右入れ替わったりしているのが気になって仕方なかったですがどうでもいいか。


萌え4コマはメインキャラのほとんどが少女ということもあり、百合要素を多く含む漫画が多くて、この「ことゆいジャグリング」みたいな良い百合の漫画もあって侮れません。



■関連
孤独から新しい出逢いへ ―ことゆいジャグリング1巻MOON CHRONICLEさん


ことゆいジャグリング (まんがタイムKRコミックス)

ことゆいジャグリング (まんがタイムKRコミックス)