きづきあきら先生らしい展開になってまいりましたよ。 - メイド諸君!(2)



メイド諸君!(2)/きづきあきら+サトウナンキ(Amazon)


うわあぁぁ!キナくさくなってきましたよ!


「ヨイコノミライ」や短編などを読んだ方ならご存知の通り、きづきあきら先生の漫画は痛々しく心を苛むような展開になることが多くあります。
「メイド諸君!」の1巻ではリアル志向なメイド喫茶漫画という印象が強く、いずれきづき節全開になるだろうということは予想に難くないものの、チラホラと伏線はあるくらいでまだまだ影を潜めていました。


それが2巻になって雲行きが怪しくなってきました、というか、きづき漫画らしくなってきましたよ。



※以下、大いにネタバレを含みます。




1巻のラストのページで出てきた男は灰音さんの兄でした。
この男と灰音さんのやり取りが鬱展開への序曲。
”灰音さんがやりたい店”の為に兄に手伝って欲しい。
見返りに「一人、兄さん好みに育てといた。その子をあげるから好きにしていいよ」と。



灰音さんからあんなにも不穏なセリフが出るとは思ってなかった。
できた人だと思っていたというよりも、きづきあきらの漫画を舐めてかかっていた。
2巻を読んで1巻を読み返せば、蜂矢・愛理カップルで揉めた時のあるみへの対応から少しは予想できたことだったのに。
ああも笑顔で表情にそぐわない発言をしているところが、いやに人間臭いと感じます。



灰音さんが、どうしてそこまであるみに対して影響力を持っているのか、それが予想できません。
「生き方を変える」云々の回想部分だけでは、目が虚ろになって自我が薄くなるくらいの強制力は出ないだろうし。
「男と付き合ったことないな」「まだ処女?」のセリフや、あるみが灰音兄とのデートに拒否反応を示さなかったことから、男性関係ではなさそうなんですが。



そして、”灰音さんがやりたいこと”。
コレも考えてしまう部分ですね。
1巻の「二号営業も話にならない」というセリフから風俗店の線はないのですが、第12話のラスト3ページの会話が引っ掛かります。
メイドのイメージの人形のような女の子では役に立たない、「自立した女なんて仕事の邪魔になるだけ」…


私見ですが、要するに「セックス付きの家政婦」を育てていくということでしょうかね。
あるみにはそれを求めていることは読み取れますし。
何と言うか、エロゲのメイド?
どういう店を理想としているのかわからないですが、不穏なことには変わりがありませんね。



千代子と鳥取さんの距離が近くなりました。
見ていて微笑ましいというか、漫画的にラブコメしてるなぁ。
鳥取さんが千代子を拒んだあたりはリアルに感じますし、周りで起きていることもラブコメというにはシビアですけどね。


メイドと御主人様の「プライベートで一緒にいても単なる雇用関係以上になんない」というあるみのセリフ。
鳥取さんと”それ以上の関係”になりたい千代子がそこから実践して、自分をそう納得させているあるみが実践できそうにないのは、何という皮肉。
今は幸せな方向に向いている千代子ですが、主人公ということを考えると鳥取さんともども鬱展開に巻き込まれるだろうなぁ。



きづき先生の漫画は、重要な場面で顔の距離が近い割合が多くて、顔の距離が近いというのは不安を掻き立てられる要素ですね。
照れが介在していない接近は本当、ビクッてなります。
展開ともども、見せ方が上手いなぁ。



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