獣の騎士団集結! - 惑星のさみだれ(3)



惑星のさみだれ(3)/水上悟志(Amazon)


いやぁ、熱いな、面白いな!



2巻での友である東雲さんの衝撃的な死と、その弟の東雲三日月の登場と彼の姫への告白という急展開に続き、3巻でも加速度的な急展開が続きます。
新たな騎士の登場、魔法使いとの遭遇、獣の騎士団の集結…



中でもやはり一番熱いのは、東雲さんの死後初めての泥人形戦でしょう。


騎士になって身近な人の初めての死を経験した夕日は、泥人形と対峙したことで「見知った人が死体になる瞬間の衝撃」という恐怖の鎖に繋がれたことを認識します。
恐怖に震え眠ることもままならない夕日。
彼が、ヒーローになる為、誰かを助ける為に鎖を引きちぎる場面は、熱すぎて鳥肌が立ちましたよ。
ノイとのやり取りは奮えて仕方がない。
あの場面は、夕日とノイが本当の相棒になれた瞬間でもあると思います。


再び自身の中の鎖から解放された夕日に身についていた力は、譲り受けた力。
東雲さんの力に助けられ、姫に助けられ、「強くなりました」と友達の死に涙を流す夕日に、読んでいる私も泣きました。
助けられて手に入れた力、それでも、白道さんに「助けてくれてありがとう」といわれたことで成長し強くなった夕日でした。


手に入れた力の前に立ちはだかるのはやはり、東雲三日月であり、「無敵に決まっている」から「名刀を手に入れた素人のようなもの」へと夕日の認識を変えた彼は何だかんだでいいライバルだなぁ。



2名の戦死者を除いて全員が揃った獣の騎士団。
魔法使いから地球を守る使命の彼らと、その裏で自らの手で地球を破壊しようとする目的を持つ姫と夕日。
二人の目的は確固たるものですが、友の死を乗り越え、身近な人を思うようになった夕日は今後どういう行動を取っていくのか。


そして、3巻ラストの二人のセリフは鳥肌モノ。
二人の関係が美しく思えますが、「演じ切ってやる」のモノローグ引っ掛かる部分ではあります。
姫と夕日の関係は、どう展開していくかが楽しみな要素ですね。
「魔王と魔王の騎士」という関係に恋愛感情が増量されれば嬉しいなぁ。
「見ろ」「見るな」と照れる夢の中の姫の可愛さは異常。
恋愛模様に、三日月と白道さんも絡んできそうな気がしますね。
三日月に「姐さん」と呼ばれ、いいお姉さんキャラな白道さんに、性格的に何か黒い部分がありそうな気がして仕方ないのですが。



水上先生は本当に魅力的な漫画を描かれる作家さんです。
ストーリーだけ見ればシリアスですが、要所要所でのコメディは活きていますし、それでいて見せ場は非常に熱い。
シリアスとギャグの折り合いが上手くて、肩肘を張らずに読めるくせに、前のめりになる面白さが混在しています。
南雲さんが真面目な話の中で放った仕事に関する衝撃発言や、東雲さん以外の戦死した騎士が何の騎士だったかが明らかになる場面なんかは、絶妙なユーモアセンスですね。



■既刊レビュー
惑星(ほし)のさみだれ(2)



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私の感想で読み始められたそうで、凄い嬉しいです。
ブログやっていて良かったと思えますし、ネットは繋がっているんだなと実感します。


惑星のさみだれ 3 (ヤングキングコミックス)

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