陰鬱さ溢れる巻ですが、次巻のカタルシスへの布石と考えよう - Pumpkin Scissors(8)



Pumpkin Scissors(8)/岩永亮太郎(Amazon)


パンプキン・シザーズ」、8巻です。
もう8巻か!早いなぁ。


今巻は前巻から引き続き、装甲列車の走る街・カルッセル編。
暗鬱とした雰囲気を纏う一冊になっています。



カルッセルの街の裏側、国境警備隊と街が持つバックグラウンドが語られた巻なのですが、
下衆ですね。今回の話の敵方は。


環境によって形成された部分はあるにせよ、国境警備隊と回想での帝国兵も反吐が出るレベルでの”支配者”であり、ともすれば”略奪者”といえるものです。
戦時という環境、暴力という支配は容易に略奪・陵辱を彷彿とさせて黒い気持ちにさせられる。


戦争の敵役といえば、個人的には「思想の違いによって対立する者」というイメージで単純な悪役ではないのですが、この漫画では違いますね。
大抵が、気分の悪いくらいの下衆な悪役としての描かれ方。


戦争はキレイ言じゃない。
戦時下に於いて、また戦争を目の当たりにしたことによって、歪む思想はあり得ることかもしれませんし、戦災復興を掲げる3課が対峙する相手としては妥当といえるでしょう。
8巻を読んでそう思いました。


だからこそ、わかりやすいまでに気分の悪くなる相手と対峙し、虐げられる弱者の現実を切り開く3課の活躍は漫画として熱く、痛快に感じるんだろうなぁ。
娯楽的には正しい姿だと思います。
この巻では、3課は動き始めた段階で、街の事情のバックグラウンドの陰鬱さが主軸となっているから暗いイメージがありますね。
次巻ので3課の活躍が楽しみです。



しかしまぁ、今回の話の黒幕は最悪な野郎ですね。
街が裏でしていたことも酷いですが、こいつの自己保身なところがもう。
さらに酷いのは、こんな理由で殺されたフランシア伍長だよなぁ。
回想に出てくる彼女は幸せになって欲しいと思える女性なのが、時折出てくる「彼女が殺される回想イメージ」の悲惨さを増している。
街の人の虐げられ方を考えると、多分、陵辱されたんじゃないかと思うと本当に胸クソ悪くなります。
ヴィッター少尉の胸中を察することすらできません。



こんな状態で待つのはツライので、早く9巻出してください。
あと、折り返しが凄い気になります。
8巻では帝国軍内の軋轢がかなり見え、その辺りもこの漫画の面白いところですから。



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