立地場所は紛争地帯! - コンビニDMZ(1)



コンビニDMZ(1)/竿尾悟(Amazon)


ようやく「コンビニDMZ」の単行本が発売ですよ!
面白い漫画なので、まだかまだかと待ってましたよ。めでたい!



DMZ」とは「Demilitarized Zone」の略で、「非武装地帯」のことです。
 (参考:非武装地帯 - Wikipedia
そしてコンビニDMZ」は文字通り、非武装地帯にあるコンビニ。
そのコンビニDMZのポイントチャーリー店がこの漫画の舞台です。
DMZは国連、NATOや現地の軍によって中立が保障されているので安心…ってんな無茶な。


ポイントチャーリー店の立地は紛争地の真っ只中。
連邦軍、反乱軍、独立派民兵が争い、さらに国連軍も入り乱れる場所。
日本企業、頑張りすぎです。
そんな紛争地にあるために、DMZとは名ばかりで辛うじて店舗敷地内の中立が保たれている状態。
駐車場を出た道路はもう戦場で、ポイントチャーリー店の売れ筋商品はモルヒネや圧迫包帯、ファーストエイドキットなどの医療品だったり。



とまぁ、こんな無茶でぶっ飛んだ設定の漫画です。
竿尾悟先生の以前の連載「迷彩君」では、「大学で有名な軍オタと認識されている主人公が実は本職の傭兵」という「日常の中に戦場の要素が入っている」ともいえる作品でした。
この「コンビニDMZ」は逆に「戦場の中に異質な日常の要素がある」という作り。
「日常の中に戦場〜」という設定はフルメタなど結構見かけるのですが、「戦場の中に日常〜」しかも戦場には明らかに異質な形(コンビニ)で日常があるのはあまり見たことがありません。
でも何か上手くマッチしています。



紛争地帯ゆえにコンビニの前の道路に死体が溢れたり、敵の待ち伏せに遭いコンビニの敷地から出られなくなったりという展開があるにも関わらず、どこかお気楽な雰囲気も持っているのがこの漫画。
店内は連邦軍や反乱軍といった所属を問わず兵隊で盛況、新兵から指揮官まで通う風景がおかしいからでしょう。
ファーストエイドキットを取り合っていがみ合ったり、駄菓子やおでんが売れたりと、変な親近感が沸きます。
戦地なのに菓子や日用品、医療品を買いに来るというのがよく考えればシュールなギャグ。
コンビニに来るのも帰るのも命がけではありますが。


とはいえここは戦地。
直接的、間接的に戦闘の引き金になったり、戦局を左右したりします。コンビニなのに。
戦闘の背景にコンビニ。
「砲撃要請。座標コンビニの東ポイント7」とか通信しているおかしさ。
多分、わかればニヤリとするようなネタもあると思いますが、軍事ネタがほぼさっぱりな私でも存分に楽しんでます。
竿尾悟先生の漫画は「軍事ネタがわからなくても面白い」漫画の筆頭だと思うのですよ。



コンビニ店員は思いっきり普通(?)の日本人で、店員は3人。
店長以外は恐らくバイトだと思うのですが、どういう経緯でここで働くことになったかとかどうやって生活しているのか気になります。
でも、考えない方が正解だろうなぁ。


店長は商魂逞しく、店内では兵をも威圧する程。店内では恐らく最強。
看板娘の雨宮淳は巨乳美人で人気があり、彼女のせいで死人が続出したり。可愛いです、うん。
もう一人の店員、勝くんは…名前がひとつのネタなので割愛。本誌で読んだ時は大いに笑わせて貰いました。



死人は続出するのに悲壮感があまり感じられない、妙なバランスの上になりたっている漫画。ギャグ漫画ですしね。
面白いです。


関連

ギャラリーさを
竿尾悟先生の作品が公開されているサイト。


コンビニDMZ 01 (ヤングキングコミックス)

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