伏線が張り巡らされたキッチリした作りの4コマ - 花と泳ぐ(2)



花と泳ぐ(2)/口八丁ぐりぐらAmazon


幽霊と主人公が同居する4コマの第2巻です。
掲載誌が「まんがタイムジャンボ」と、正統派(?)4コマ誌らしいゆったりした雰囲気をもちながら、救われないイメージも併せ持つ漫画です。



主人公の幸太の部屋に現れた幽霊の菊子。
菊子は記憶が曖昧な幽霊で、幽霊らしく壁をはじめとして色々なものを通過しますが、手に物を持つことはできて料理もします。
菊子は幸太の部屋に住み着き、飼い猫の会長や、隣の部屋の霊媒師見習い女子高生のふみ、幸太の親友で霊感が無い為に菊子が見えない梅ちゃんとともに日々を過ごしていくのです。


一方で、病院に長い間昏睡状態から覚めず「眠り姫」と呼ばれる女の子が一人。



こんな感じの漫画で、基本は大学生の幸太と幽霊の菊子の4コマらしいほのぼのした生活がメイン。
なのですが、各話の最後のページは「物語のラスト付近から振り返った」かのようなモノローグがあり、振り返っている視点は幸太でしょうが、その振り返っている時点では事がうまく運んだ状況とは到底いえないらしく悲壮感すら感じられます。
2巻のオビの謳い文句がもう、ね。このオビの文句からはハッピーエンドが連想できない。



そもそもの作りとして、二人組の作者の原作の方が「最終回までのストーリーを全て書き溜めた上で毎月連載」をされているとあとがきでも書かれています。
だからこその、未来から思い返したモノローグと張り巡らされた数々の伏線。
大筋の話はカッチリと決まっているので安定感があります。
4コマ誌の漫画でこういう作りの漫画は珍しい。



多くの伏線を意図的に入れているらしく、それが少し回収されたり、重要な部分はまだ回収されずラスト付近に収束していくと思うと楽しみです。


「眠り姫=菊子=生霊」というのは初期から描写されており、幸太は幽霊の菊子は知っているが眠り姫は知らない、梅ちゃんは仕事の関係で眠り姫は知っているが幽霊は見えない。
ふみは両方知っているがそれをまだ幸太に知られないようにしていて、それ以外のことも隠していそうな感じがします。
ふみがどこまで知っているのか、何をやろうとしているのか気になりますが、まさか単純に「一人で霊体を生身の身体に戻す」ことをしようとしているだけってことはないと思いたい。それだとストレートすぎるので。



モノローグやらから容易に予想できるラストはあるのですが、それとは違う結末が待っていると信じて続きを待ちます。
あ、猫の会長(名前が会長)は可愛いです。



花と泳ぐ 2 (まんがタイムコミックス)

花と泳ぐ 2 (まんがタイムコミックス)