バカは死んで、治ってきているようです。 - ねくろまねすく(1)



ねくろまねすく(1)/玉置勉強(Amazon)


主人公の阿美健一郎は女性に刺され、崖から転落。
目が覚めた彼の体は冷たく、脈も無い。
異常な体になり彷徨った彼は、橋から飛び降りても平然と立ち上がる少女に出会う…



玉置勉強先生の新刊は、リビングデッドものです。
主人公は死んだのに生きている”不死者”。



主人公の阿美健一郎(アミ)は悪質な100人斬りの女たらしのクズ野郎。
時折その回想がコマに描かれますが非道いもので、冒頭で痴情のもつれから刺され転落死します。享年19歳。


死んだのですが何故か死体のまま意識が戻り、リビングデッドに。
自分の体の異常や、誰にも頼ることができない孤独に苛まれながら徘徊しているところで、同じようにリビングデッドである少女のノラと、ノラの姉で天才美少女科学者のカタリナに出会います。
行く当てもないアミは、口封じと恐らく実験材料としてカタリナに拾われます。
カタリナが男嫌いなので女装、不死者の制御のための孫悟空の輪っか的なものをチンコに付けられ飼い殺し状態に。
そうやって、不死者となってしまったアミは異常な3人暮らしをすることになるのでした。



各話の扉でカタリナとノラはコスプレですが、アミがメインの場合は裸に首輪などで拘束されているように、女をヤって捨てていたようなクズ男が、死んでから制約の多い状況になっているのもひとつのキモ。
まさに「バカは死ななきゃ治らない」の如く、死んで意味も解らずリビングデッドとなり絶望を味わい、拾われてマシな性格になっていく様は面白い。
拾ってくれたカタリナへの感謝や、やたらと感性・感情が子供に見えるノラ、2人との日常の積み重ねが今後もアミを変えていく展開になるんじゃないかな。
生前の悪行を後悔したり、カタリナを助けるために体を張り熱くなったりしてます。



カタリナはカタリナで男嫌いですが、アミが調べた通りのクズではなくてちゃんと恩を感じていたり、自分のために無茶をしてくれたりする姿を見て好意を抱いており、ラブコメ臭がします。
生者と死者、研究者と研究対象という歪んだ関係であり、お互いに護る者であり護られる者。
2人の関係も見所ですね。



主人公が不死者で、玉置先生の前の作品が「東京赤ずきん」なので、グロ描写があるかと思いきや特にありません。
1巻収録分では、せいぜい骨が折れるくらい。
今後どうなっていくかはわかりませんが、割とゆるい雰囲気を纏っていますしグロに関しては大丈夫…なのかな?
とはいえ、カタリナがレイプされそうになったり、アミがネクロフィリアマッドサイエンティストに拉致されたりと、ゆるいながらにダークです。



アミが不死者として蘇生したことやカタリナの目的や正確な素性といった伏線、アミのライバルとしてのネクロフィリアショタコンのグエンがいますが、先の展開が何とも読めません。
日常を重ね、グエンとの衝突が度々あるだけとは思えず、先が楽しみです。


ストーリーのメインにカタリナとグエンが関わっていた組織が関わってきそうなこと、カタリナの目的がノラのためで、アミはそのための研究対象だろうことくらいですね。今の予想としては。