最期に、彼女は救われていただろうか - GUNSLINGER GIRL(9)



GUNSLINGER GIRL(9)/相田裕(Amazon)


アンジェリカが死んでしまった…


GUNSLINGER GIRL」9巻読みました。
視界が歪みました。ええ、涙を流しました。



もともと寿命が短いとされ、身体の修復、投薬による記憶操作「条件付け」の副作用で記憶障害を引き起こす義体
初期の義体で、他の義体よりも著しい記憶障害が見られたアンジェリカ。
それでも戦う為、生きる為に投薬と修復を繰り返し、脳への影響はより深刻になっていく。



人間を遥かに上回る身体能力と強靭な肉体、ダメージも修復ができる。
その設定とその能力による活躍を読んできて、記憶的・精神的な影響はあるものの、そうそう死なないだろうと私はどこかで思ってたんですよ。彼女らの寿命が短いと知りながら。


マルコーもそう思っていた部分があったんじゃないだろうか。
だから、テロに巻き込まれて病院のベッドで目覚めた時に自分の身体のことしか思い浮かばなかったんじゃないか、と。
頭では解っていても突きつけられた現実は非情で、アレッサンドロやヒルシャーら他の担当官も現実味が薄く感じていただろうから、彼らの認識にも影響を及ぼしているんでしょうね。



で、アンジェリカです。
もうオビの時点でヤバイです。くるものがある。


記憶障害が進み最近のことを忘れ、既に忘れてしまったはずの昔の記憶を思い出し、さらには生身のころの記憶すら呼び起こす。
飼っていた犬のペロの幻覚を見るとか、ヤバイです。涙腺が。


自分を護る為に壁になり、もう助からないところまできてようやく、アンジェリカが大きい存在で彼女に引け目を感じるマルコーに胸を締め付けられる。
それは、アンジェリカの為にパスタの国の物語をマルコーとともに作ったプリッシラ達にも言えることで、遣る瀬無くて切ない。
アンジェリカの為に駆けずり回る彼らの姿が、物語を創作していた頃とダブります。


ペロを思い出し、マルコーを赦し、そしてマルコーすらも忘れてしまったアンジェリカ。
全てを忘れてしまった彼女がマルコーの為に、パスタの国の王子様の物語を話し出した時点で読んでいて涙が溢れてきました。
ああ、彼女はこんな形だけれど救われていたんだ。


彼女の命は死んでいたはずの命だけれど、アンジェリーナなんて女の子は私は知らない。
マルコー達と同じく、私達読者が知っている女の子はアンジェリカで。
1巻からずっと追って来ているだけに、今巻の話は胸に重くきます。
何度読み返しても、また涙が流れる。



他の一期生の義体にも死亡フラグが立ちつつあります。
でもそれは、この漫画では避けられないこと。
GUNSLINGER GIRL」から目を逸らせない。