友達だから伝えられない、切ない片思いの百合 - ささめきこと(1)
アライブ連載の百合漫画である「ささめきこと」。
連載はチェックしておらず「女装少年が絡んでくる」ということだけ知っていたので、半月ほど積んだままでしたが迂闊でした。
これは良い片思いの百合。
主人公の村雨純夏は友人の風間汐が好き。
風間は、小柄だったりドジだったり守ってあげたくなるようなカワイイ女の子が好きな女の子。
純夏は成績優秀運動神経抜群、実家は空手の道場で黒帯級で”暴刀村雨”の異名をとる程の腕前…
好きな娘が女の子好き、と光明はあるかに見えますが純夏は風間の好みからは程遠い。
しかも一番の友達だから余計に告白できないもどかしさ。
友達として頼ってもらえて側にいれる嬉しさと、その関係を壊したくないから想いを伝えれない、踏み込めないこの切なさ。
風間がまたちょっと天然な感じで純夏に恋の相談をしたりするから、さらに切ないです。
読切であった1話では「先輩が好きなんだ」と聞かされ続け、風間がその先輩に告白する前に玉砕。
風間が失恋したことに安堵を覚えつつも、やはり好きな人には泣いて欲しくない、という複雑な心境の苦しさ。でも友達でいられなくなるのは耐えられないから自分の気持ちは伝えれない。
異性間でも”とても仲の良い友達”という間柄ならば告白することは相当に抵抗のある行為です。誰しもその居心地の良い関係を壊したくはないのだから。
同性である百合では”好きな相手が異性愛者”だから、もしくは相手が受け入れてくれる人だとしても「主人公が相手を異性愛者だと認識している」いう理由から、告白にまた別の壁が存在することも少なくありません。
この「ささめきこと」は片思いの相手である風間が女の子好きなのでそれはクリアしてはいるのですが、純夏が風間を好きだとは知らない(=男の子が好きだと思われているはず)状態で、さらに「私のタイプとは違う」と面と向かって言われているという壁が存在します。
完全に同性の友達だと認識された上で、好きな娘に「ずっと友達でいてね」と言われる辛さ。何の他意もない極自然な言葉だけに、痛い。
風間がまた、純夏に好きな人がいるなら応援しようと思っているのが切なく、片思いを描いた百合として非常に良いです。
どの程度メインの2人の関係に関わってくるかは解りませんが、サブキャラとして百合カップルと女装少年がいます。
百合カップルの2人は女の子同士の恋愛を応援する”女子部”を作ろうとしており、この2人の活躍によっては、風間に新しく好きな人ができて純夏がヤキモキしたり、純夏と風間の距離が恋愛的な意味で縮まったりするんじゃないかと思うと目が離せないところではあります。
女装少年の方は”女の子よりカワイイ存在”として描かれており、現状では彼が男だと知らない風間の気になる相手。
ただし、彼の出番はメインの話に刺激を与え際立たせるレベルの脇役であり、純夏に片思いしているポジション。
アライブ本誌で連載中の分でもエッセンス程度の出番みたいなので、メイン2人の関係を楽しむ漫画としては多分問題ないかと。
兎にも角にも、同性ゆえの片思いの切なさを魅せてくれる漫画として面白く、これからも期待しております。
- 作者: いけだたかし
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2007/12/22
- メディア: コミック
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