「昴」再始動!新章「MOON」スタート!



MOON -昴 ソリチュード スタンディング-(1)/曽田正人(Amazon)


「昴」の続編「MOON」の待望の1巻が出ました。
天才バレエダンサー・宮本すばるの物語の再始動、新章スタートです。



難病を患う双子の弟・和馬の前で彼と自分しかいない病室で踊り続ける日々、そして彼の死に直面した過酷な幼少時代。
かけがえのないバレエの師との出会いと別れ。
自身の自由とバレエへの渇望からの渡米、トップダンサーとの出会いと覚醒…
観客を、同じ舞台に立つダンサーも、読者を引き込む程の迫力を持った物語が「昴」です。


他人から見れば、巡り合わせのように有名なダンサーの側にいて「運がいい」と羨ましがられるすばるですが、その実は綱渡りのような危うさを持った苛烈な人生。
自分には”バレエ以外は何もない”と思う天才ダンサーの踊りは、エネルギーが溢れ出すかのような圧倒的な迫力で描かれ、ページを捲る手が止まらないほど引き込まれたものです。
我が強く傲慢に見える考え方でも、愚直に、純粋にダンスを求める姿に惹かれる。



舞台をドイツに移した「MOON」でもそれは変わりません。
他人を省みないほど、純粋に光を放つその姿。


すばるは自分から不利な方を選んでしまうような不器用な生き方が良いと思うんですよ。
ローザンヌスカラシップを蹴ってニューヨーク行きを決めたのそうですし、「MOON」では冒頭から公演間近に控えながらペナルティで降ろされたり。
逆境から”ダンスしかない”すばるはより燃え上がり、光を放つんでしょうね。
普通のダンサーが歩む”王道”とは違う道を突き進むからこそのこの魅力。


盲目のダンサー・ニコとの運命的な出会いはすばるをより輝かせるステージへ導くでしょうし、今後の展開が楽しみです。
盲目で周囲が気にかけるニコを「目が見えないだけ」、「自由」と言うすばる。これがすばるだよなぁ。


第1話の1ページ目からのカティアの登場には震えたのですが、今のところはすばるの引き立て役。
すばるの当て馬で終わって欲しくないですし、カティアの活躍にも期待したいところです。