大切な人を失った父娘の優しく切ないコミュニケーション - マイガール(2)



マイガール(2)/佐原ミズ(Amazon)


彼女の留学で別れ、5年ぶりに再会した彼女・陽子は棺桶の中。彼女には一人娘がいて、父親は自分らしい。
そういう形で最愛の人を亡くし、一緒に生活を始めた正宗とコハルの物語「マイガール」の2巻です。


陽子にフラれてもずっと忘れられなかった正宗と、父親がいなくとも沢山の愛を注いでくれたママと暮らしてきたコハルにとって、陽子はかけがえのない大切な人でした。
正宗とコハルがそれまでに面識がなくとも、実の父娘ですし、陽子が2人をどれだけ想っていたかわかるだけに一緒に暮らすようになるのは当然ですし、必然。
とはいえ失った存在は大きく、空白の時間は大きく、戸惑いながらも親子としての隙間を埋めていく2人の生活はは優しさと切なさに包まれています。



2巻で、出会って一年を迎えます。
新しい生活にも慣れてきたけれど、まだまだ”親子”として暮らし始めて一年。
正宗とコハルの”親子”としての距離は、陽子の母親や正宗の両親、大家さんをはじめとした2人に関わる人達との出来事で縮まっていきます。
どんな人と出会い、どんな経験をして、何を思うのか。
それがこの漫画のポイントだと思います。他者とのコミュニケーションは人を成長させるものですしね。


空白期間のある親子の正宗とコハルにとっては特に他者から学ぶことは多いはず。
大家さんと入院中の妻、妊娠疑惑が浮上した未婚のカップル、と2巻はそう思わざるを得ない内容でした。
老いてからの相手との別れの可能性、妊娠で周りを巻き込んで悩むこと、どちらも正宗と陽子が経験しておらず、経験できないこと。普通に結婚していたならあったかもしれないことです。
それだけに切なく、彼らから感じ考えさせられることは大きい。逆に正宗達からの言葉も重みがあります。


境遇があるからか年齢のわりに大人びた印象のコハルですが、ママと同じようにしたいと思う様は年齢相応に見えて微笑ましかったですよ。
大切な人を失った悲しみは忘れられませんし、乗り越えこそすれ忘れるべきものではないと思います。
まだ、たった一年。



子供がいないどころか結婚もしていない私ですらこれだけ胸に訴えかけられるものがある漫画なので、結婚している方や子供がいる方には是非読んで欲しいなぁと思うのでした。