赤いプロトタイプのフゲンと、対比されたモンジュの成長 - 正義警官 モンジュ(5)



正義警官 モンジュ(5)/宮下裕樹(Amazon)


東京からリストラされ地方に飛ばされた対犯罪用汎用兵器ロボのモンジュとそこで彼に関わる人達、そして東京の特殊部隊の陰謀渦巻く警察漫画「正義警官 モンジュ」5巻です。
表紙は赤いです。真っ赤です。3倍です。(何が



4巻で、発見され起動したモンジュと同型のロボット・フゲン。
東京から逃走したフゲンはモンジュのいる地方の派出所へやってきました。
対犯罪用ロボを目の仇とし、自分の部隊の利益のみを考える特殊武装機動隊の三堀も暗躍している状況。



モンジュの旧型であったピープルはモンジュに様々なことを教えました。人との接し方や、ロボットである自身の生き様を。
モンジュと同型のフゲンは物語的には対比の役割を持っていると思います。


これまで人と触れ合い学習してきたモンジュと、人とほとんど接することのなかったフゲン。
何も知らないフゲンに世話を焼き色々と教える山岸巡査たちを見て、嫌な気持ちになるモンジュ。
今のフゲンはかつでの自分と同じ状況なのに、みんなを取られたように感じてしまう。
その感情は、嫉妬です。
今のフゲンまでとは言わないまでも感情をあまり知らなかったロボットのモンジュが、今は嫉妬を覚えるまでになった。
そこまで感じるようになったモンジュが、自分と同型のフゲンを見て接して、自分で色々と感じて考える形で成長していくと思います。
また、対比されることで今のモンジュの成長っぷりが描かれています。



感情の学習以外でも設定面でモンジュとフゲンは違いがあります。
モンジュとフゲンは法に則って正義の執行を行うプログラムがあるのですが、フゲンのそれにはリミットが無く、警官をも攻撃してしまう。
法のルールから外れれば誰であろうと、躊躇もなく排除対象になってしまう。
その暴走ともとれるフゲンに対峙するモンジュの人を想う気持ちと言ったら!


法を厳守で正義を執行するフゲンに対して、食い逃げ犯に対してモンジュは逮捕という方法を取らなかったのは成長して情を知ってのことでしょう。
プログラムのリミット以前のこととして、どんな犯罪に対してどんな対応をするかといった人間らしい曖昧さがモンジュの成長の証として対比されています。


しかし暴走したフゲンはモンジュにとって、もしかしたら自分がそうなっていたかもしれない姿であり、これから自分がなるかもしれない姿でもあるわけです。
その辺りがどう描かれていくか、暴走したフゲンがどうなってしまうのか、今後の展開が楽しみです。



この漫画、メインのストーリーの合間合間に、1話完結に近い形のギャグメインの回が入って緊張を解きほぐしてくれます。
そういう回は山岸巡査と神谷さんがラブってコメっていて良いんですよ。
情緒不安定でキレやすい神谷さんが赤面している姿が可愛い。可愛すぎる。


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宮下裕樹先生公式サイト


正義警官モンジュ 5 (サンデーGXコミックス)

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