動き始めた透明感溢れるふみちゃんとあーちゃんの感情 - 青い花(3)



青い花(3)/志村貴子(Amazon)


志村貴子先生の描くガールズラブ青い花」の待望の3巻でございます。


志村先生の漫画は特有のゆったりとした空気感があります。
大きな動きの演出が少ないから、ゆっくりじっくり進んでいると感じられる。
また、鎌倉という舞台設定と描写によるものだと思うんですが、「青い花」には清々しい透明感を感じます。
その透明感とゆったり感が百合であるこの漫画に非常にマッチしているんですよね。
好きな人に別に好きな人がいる片想いしている登場人物が多かったり、姉妹3人で同じ男性を好きになったりと、よくよく考えれば人間関係に結構ドロドロした部分があるにも関わらず感じられるこの透明感。
そう感じられるのは登場人物たちの恋心が真っ直ぐで、感情をぶつけることはしても自分の恋のために他人を落としいれようと暗躍することがなさそうに思えるからかもしれません。
オビの『限りなく清冽で愛おしい、少女たちの恋。』のキャッチコピーは納得です。



2巻で杉本先輩と別れたふみちゃん。
そうなってくると3巻の見所はふみちゃんと親友のあーちゃんですよ!現在の連載分ももちろんです。


井汲さんとともに井汲さんの許婚の康ちゃんの家に遊びに来たあーちゃんたち+奥平兄。
仲の良い友人だけでキャンプのように自然を満喫するこのイベントで、何もないわけがありません。
慣れない山道に足を取られ、気心が知れたあーちゃんとふみちゃんが手を繋ぐのも自然なことです。
一緒に過ごす夜の出来事に昔を思い出し、窓から見える星に心を奪われるのはロマンチックで微笑ましいですよ。
その夜更かしでダウンして翌日に2人だけ遊びに行けず、同じ部屋でベッドに横になっている様は思わず頬が緩むって言うものです。



夜寝る前の、横になった時の会話というのは結構本音が出るものだと思います。
帰ってきてから杉本家関連で大きいイベントがあって、それからふみちゃんと杉本先輩でやりとりがあります。
それを経てのあーちゃんとふみちゃんの寝る前の会話。
ここでふみちゃんに言われたことは相当に大きいはず。
今まで気にしていなかったことでも、言われて初めて気付いたり、言われてから意識しだすのは良くあることですから。
口にした側も然り。言って初めて自覚することも多いです。
特に人を好きになるっていうことに関しては。



しかし、ふみちゃんは可愛いなぁ。
恋愛が絡んでいないって解っていても、あーちゃんが康ちゃんと一緒にいて嫉妬してしまう様が!
変な余裕が無いのが可愛い。
今後のふみちゃんとあーちゃんがどうなるのか楽しみです。

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青色吐息
志村貴子先生のブログ


青い花 3巻 (Fx COMICS)

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