描かれない”動き”に緩やかな時間の流れを感じるお話 - GENTE(2)



GENTE(2)/オノ・ナツメ(Amazon)


リストランテ・パラディーゾ」の外伝「GENTE」の2巻ですよ。
リストランテで働く人やお客さん、リストランテに関わる人々を描いたシリーズです。



「カゼッタ・デッロルソ」は初老の老眼鏡紳士が働くリストランテ
刻んできた年齢の分だけ重ねてきた日々があって、物腰も柔らか。
その纏う落ち着いた雰囲気は人生経験豊かだからこそ。
落ち着いた雰囲気に、紳士な従業員。そして美味しい料理。
渋い色気のある紳士が眼鏡。


従業員は、その多くが初老とあって、年齢とともに乗り越えてきたものがあるだろうからこその落ち着きがあります。
振り返って語られる過去も、落ち着いた感じのいいお爺さんが語る話のような優しさと、人生の厚みをがあって安心感すらある。


こんなお店があったら、そりゃあ行きますよ。
癒されそうで、居心地が良さそうな雰囲気が漂っているんですもの。

ゆったりとした、この雰囲気がいい

オノ・ナツメ先生の漫画は雰囲気が良いんですよね。
端的に言ってしまえば”オシャレ”なんですが、空気感がいい。オサレ。
イタリアという舞台のせいもあるのか、ゆったりとした空気に包まれています。


演出面では擬音などのオノマトペの類をほぼ使用せず、効果線などもほとんどありません。
登場人物達の大きな動きも極力描かれません。
だからこその、このゆったりした感じ。


”動きがない”わけではなく、”動いているところを描いていない”んでしょうね。


皿が落ちる場面では、手に持っていた皿が落下の瞬間や途中は描写されずに、次のコマでは床に落ちている。
腕を掴んでいたその次のページで、抱きしめている。
コマ間やページの間には、確かに”動き”がある。でもそれは描かれません。


コマ間には描かれなかった時間があり、描写がないことで”動いている時間”は脳内で補完され、読者それぞれが自分の思う間を作り上げる形になります。
ほとんどの場面でそうなので、余計に緩やかな印象を受けるんでしょう。

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オノ・ナツメ先生公式サイト


GENTE 2 (Fx COMICS)

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