「20娘×30乙女」再登場!切なさ溢れる「百合姫 Vol.12」



百合姫 Vol.12(Amazon)


今月は百合姫の発売月ですよ!


日輪草夜先生が久しぶりに、「初恋姉妹」を終えた東雲水生先生の初のオリジナル百合作品「美しく残酷な誇り」が掲載で、一迅社コミック大賞入選作の麻耶いつき「金木犀の花たち」が載っています。
武若丸先生の「紅蓮紀」が新展開なんですが、こういうバカなノリの方が個人的には好きだなぁ。


今号は、自分の想いを伝えられずに、好きな相手の背をそっと押す作品が3作掲載。
「美しく残酷な誇り」と「金木犀の花たち」と、乙ひより先生の「クローバー」がそれで、それぞれ別の作品なので展開の面白さを抜きにしても、感情の激しさが大きく違うのが面白いところでした。
こういう、両想いになってハッピーエンドではない話の切なさも良いものです。


また”想い人の後押しをする”というのとは違いますが、タカハシマコ先生の「いちごいちごいちご」はやはり別の面白さがありますね。
主人公に無機質な冷たさのようなものを感じ、主人公以外の内面が感じ取りにくい印象を受けるのは私だけでしょうか。
かわいくも鋭利な感じがします。

20乙女の季節 / 森島明子

「20娘×30乙女」のさらなる続編ですよ!
30歳の圭子先生の乙女っぷりがかわいすぎて、大好きなシリーズなので続編が嬉しすぎます。
2人ともかわいい歳の差カップルなのですよ。

今回の話は、無事大学に合格した笑美ちゃんの視点に重きがおかれています。


新生活と圭子先生の多忙で会える時間がめっきり減ってテンションがだだ下がりのところに、圭子先生の「飲み友達(男)と飲むかな」と言われれば嫉妬の炎も燃え上がるというもの。
頬を膨らませて怒る笑美ちゃんがかわいすぎる。


元彼と電話する圭子先生を見て、大好きだから不安になる笑美ちゃんと、余裕のある大人の包容力で包み込む圭子先生の対比的な関係が良いですね。
大人らしく包容力を見せながらも、やっぱり乙女な圭子先生は堪らなくかわいい。


でもまぁ、好きになったらやきもちを妬くのも恋なわけで、笑美ちゃんに言い寄る男が現れたらきっと圭子先生はかなり嫉妬しそうな気がするなぁ。

ストロベリーシェイクSweet / 林家志弦

うおおぉっ!ベタ甘ええぇ!!
晴れて両思いになった樹里亜とらんらんが迎える初めての夜の話で、今まで樹里亜が気持ちを抑えてただけにベタベタに甘い!


でもそこはストシェ、ギャグも忘れません。
「これは夢なんじゃね?」とか「こんなトントン拍子にいくわけない」と、樹里亜のヘタレっぷりがらしくて。
何とかしようとする樹里亜の心情が戦況報告に例えられてて笑えます。
それでいてガーッと行ってしまうのでなく、相手を思うオチが良いです。
そして確定する受攻。


最終回まであと2話とのことで寂しいですが、甘くて笑えるラストを期待。

初恋カノン / かずまこを

素直で不器用な保健委員のななおと、養護教諭の松本先生のシリーズ新作。
このシリーズも面白くて好きですよ。
ぶっきらぼうな口調で好き好きオーラが出てるななおがかわいい。


今回の話はこの2人ではなく、新キャラの花田先生の視点。
生徒の頃に同性の教師と付き合っていた過去があり、現在は教師で告白を受けたという、ななおと松本先生の両方に通ずる立場なのが面白いですね。
2人の気持ちと関係に影響を与え、揺さぶるという演出。


シリーズ主役の2人のモノローグが一切ない新鮮さと、花田先生の話としてはこの話だけで楽しめるのがニクイ。


コミック百合姫 2008年 06月号 [雑誌]

コミック百合姫 2008年 06月号 [雑誌]