在り方の異なる者達のヴァンパイア・サスペンス - ヴァムピール(1)



ヴァムピール(1)/樹なつみ(Amazon)


飛び降り自殺に巻き込まれて1分間だけ心停止し、蘇生した少年・伶。
生死の間を彷徨い目が覚めた彼は、髪は金髪に目は赤くなってしまった。
そしてそれ以上に見えるはずのないもの…霊が見えるようになってしまった。



樹なつみ先生の新作「ヴァムピール」は、生きながら死の世界に踏み入れてしまった少年が主人公の物語です。


伶の異変は、死んでいた1分間に“ヴァムピール”と呼ばれる霊的なものが身体に入り込んだから。
蘇生した為、伶の身体からヴァムピールは弾き飛ばされ、死者の側に身体は変わってしまったという。
ヴァムピール”はその名の通り、吸血鬼を表します。*1


伶は、一度死んでヴァムピールによって生き返った笙と、伶に入り込んだヴァムピールに出会い、自分がどうなってしまったかを知ります。
だからと言って簡単にこの状況を受け入れることなどできるわけがなく、それでも自分について回る自殺した少女の未練を晴らす為に立ち回る…
というのが1巻の主な内容。
伶の置かれた状況を、読者と伶本人に示すエピソードですね。


その後は、臨床心理士の笛吹のエピソードに移ります。
この漫画の面白いところは、立場どころか在り方が異なる4人がメインとなるだろうところ。
生と死の中間にいる人間、ヴァムピールによって生き返った少女、人間、実体を持たないヴァムピール
それぞれが、それぞれにしかできない役割を持って進んでいくんじゃないかと思います。


人間でありながら死者に触れられる伶、臨床心理士の知識を持つ笛吹など、各キャラの特性が存分に活かされる展開、バトルメインではなく生きている人間の為に事件を解決する展開を期待したいですよ。

*1:ただし、血を吸うのではなく、生命エネルギーである“オド”を吸収する設定。