うさぎドロップは「親になるってなんだろう?」の描き方が上手すぎると思う



うさぎドロップ(4)/宇仁田ゆみ(Amazon)


ダイキチとりん、31歳と6歳。
一緒に住み始めて1年半になりました。
一緒の生活も板についてきて、どう見てもすっかり家族です。


でもまだ1年半。
本当の親子でなく、まだ1年半なので当然のように疑問や壁も多々あるわけです。



りんの学校の文化祭で、母親達が”自分達の子供さえ良ければいい”というレベルでの自分の子供最優先な会話を聞いて、不快に感じるダイキチ。
確かに自分の子供最優先なのは当然です。でも、自分や自分の子供さえ良ければいいのか?他人に迷惑がかかってもいいのか?
そう感じるダイキチは自然ですが、でも、一緒にいた二谷さんは「彼女達の言うことが理解できないでもない」と。
子供がインフルエンザにかかったら、風邪をひいて寝込んだら、自分が倒れたら?


ああ、確かにそうだ。
これまで自分達はそういう経験がなかった、だから考えたこともなかった。
この人達(親)は子供が生まれた時から積み重ねてきたもの・経験があるんだ。
不慣れながら必死にりんとの生活をしてきたダイキチはそう思います。
子供のいない読者としては、ダイキチを通してそういった”考えたこともなかったこと”を想像し、より思いを巡らせることができるようになります。



うさぎドロップ」はこの辺りの描き方が上手いんですが、4巻は特に上手いですね。
ダイキチのいとこの春子のエピソードや、新しくできたパパ友達といった、色々な親達。
彼らと接して、結婚をしたことも親になったこともないダイキチが「親になるってなんだろう」と考えるんですよ。
子育てをしていても、考えて想像ことはできても、実際に親になってみないとわからないこと。
私なんかは未婚で子供もいないので本当、想像することしかできませんが、”親にならないとわからないことがある”、と、そのことはひしひしと感じました。
そういう点で描き方が上手いなぁ、と。
親の立場で読むとまったく別の感想があるかと思います。



ダイキチは疑問を持ったり戸惑ったりすることはありますが、傍目にはどう見てもダイキチとりんは家族なんですよね。
親子ではないけれど絆は確かにあって、ずっと親をしてきた人達は別次元の存在なんかじゃない。
彼らとの差は、積み重ねてきた経験の差が大半を占めるんじゃないかと思わされます。
ダイキチとりんはちょっとハードランディングだっただけだよ。
これから積み重ねていけばいいんだよ。



現在、本誌では第2部に入ってりん達も大きく成長しました。
どういう展開になるのかまだまだわかりませんが、子育てものとは大きく違う展開になる気がします。
今後もものすごく楽しみですよ。

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