4本同時新連載に四季賞と新しい風を感じる「アフタヌーン」7月号
今月号は4本同時新連載に、四季賞となんとも新鮮な印象の号でしたよ。
木尾士目先生の「ぢごぷり」、豊田徹也先生の「珈琲時間」、今井哲也先生の「ハックス!」、杉基イクラ先生の「もえタイ」が新連載。
アフタヌーン好きの人の中には、新連載や読切までも軒並み面白く好きになってしまう人がいるかと思います。私がそれです。
そんな感じでどれも面白い1話でした。
「ぢごぷり」と「珈琲時間」が特に面白かったですよ。
今後の展開として、燃焼系ボクササイズ漫画の「もえタイ」が設定的にどういう展開をしていくか楽しみなところ。
痩せるにつれて前向きになれるようになっていくと思いますが、目に見えて体型が変わっていくのかな。
四季賞ポータブルはやはり毎回面白いですね。
素人目に見て、短編作品としてクオリティが高いや。
四季大賞、四季賞受賞作は文句なく面白くてツボりましたよ。
ぢごぷり / 木尾士目
木尾士目先生の新連載はなんと、子育てもの!
アニメ調の萌えより絵柄で印象的にも新鮮です。
それでいて、生後7日の赤ちゃんがリアルめな描写なのが強烈なインパクトを持ってます。
初めての子育て、サブタイトルも「地獄のオシメさま」とあるだけに、初めての赤ん坊は慣れないウチはモンスターにすら見えるっていう意味合いを読み取りました。
同時に子供が可愛いよ、っていうのも溢れています。
片や一児の親、な双子の対比もポイントになりそう。
あと、当然気になるのは父親のことですね。
楽しみな新連載だ。
出産したばかりでぽっこりして戻っていないお腹を気にするシーンが、1話で一番可愛いシーンだと思いましたよ。
珈琲時間 / 豊田徹也
「アンダーカレント」の豊田徹也先生の新連載は”珈琲”をキーワードにした漫画のようです。
コーヒーというより、コーヒーを飲みに喫茶店に来た人達のお話、という感じの第1話でした。
喫茶店で成される会話とその後のオチは、物語というよりも”お話”というのがしっくりくるもの。
小さくてなんでもないことなんだけど、ある意味大きくて、心地良いです。
こういう極狭い舞台でされる小話的な話は心が軽くなって良いですね。
オクターヴ / 秋山はる
うわーい、思いっきり良い百合展開してるよ!!!
狭い箱庭での保守的な百合も好きなんですが、そうでない”社会”で織り成される百合もこの上なく好きなのです。
昔の仲間と会った雪乃。
「女が女を好きっていうのは欺瞞だ」という否定の話があったり、節子の仕事相手の男に品定めされたり。
それでも、この人は特別なんだよ、とそう感情が溢れるような展開が良いです。
その展開で自ら疑問を投げかけるヒキも、アダルティックで良いなぁ。
そう思うのはコミックハイでの「GIRL FRIENDS」の展開を見ているからなのかもしれないけど。
帰っておいで(四季大賞) / 伊咲ウタ
四季大賞の「帰っておいで」は母を亡くしている兄妹の話。
重度のシスコンに見せかけ*1、どんどんと明らかになるドロドロとした過去やそれによる今の関係の描き方が上手いと思いました。
流れるように読み進められた感じ。
最良の幸せに繋がってないオチが印象的で良いです。
スーがコーに言った言葉は彼女の本心と彼の心を軽くする意味の他に、コーに呪縛をかける意味合いもあるんだろうなと思いました。
誰もが持っている心の底流
通して読むと、完成度の高さを感じる
「痛みを背負って生きることは間違いじゃない」という願いと共に読みたい一冊
*1:もちろんただのシスコンであるはずはないのはわかってるんですが