揺らせ、心を揺らせ!熱いピンボールラブコメ - FLIP-FLAP



FLIP-FLAP/とよ田みのる(Amazon)


世界初(?)のピンボールブコメFLIP-FLAP」、ついに単行本が発売ですよ!
連載中も感想を書かずにはいられないくらいに楽しませてくれて、4話目でまさかの最終回には衝撃を受けたものです。
連載時も思ったんですが、短期連載でコンパクトにまとまっているからこその面白さもあるんだよなぁ。
アフタヌーン本誌で一度ならず数回読んでいるにも関わらず、単行本で通して読むとやはり面白くて震えさせてくれます。



「普通」の男子である深町くんが高校卒業の日に思い切って片想いしている女の子・山田さんに告白、条件付でOKを貰います。
その条件とはとあるゲーセンのピンボール台のハイスコアを超えること。
そうしてピンボール漬けのちょっと変な日常に入っていく深町くんでした。


この漫画はピンボールブコメです。ラブコメなんです。
でも、それ以上に熱いんですよ。魂が震えるくらいに。



ピンボールを愛する少し変な山田さんを好きになり、付き合う条件はピンボールでハイスコアを出すこと…という設定からわかるように、もちろんピンボールをする描写がほとんどです。
小さな町の小さな店の、ピンボール台の周辺でほとんどの出来事が繰り広げられる小さな物語。
舞台がワールドワイドに展開しても、やはりピンボール台の周辺が基本となる限定された狭い空間の物語です。
でもね、狭くて小さいけれど、深くて深くて、広いんですよ。


山田さんと付き合う為という不純な動機で始めたピンボール
深町くんには、山田さんや他の人達が何故こんなにも真剣にのめり込んでプレイするのかわかりませんでした。
でも、山田さんはもちろん店長や常連の人達と一緒にプレイしているうちに楽しさがわかってきて、好きになっていくんですよ。
そうして思うんです。


この人達は本気でピンボールが好きなだけなんだ、楽しんでいるだけなんだ、って。
自分にはこれまで本気になったものはあったか?

俺が楽しんでいなかったのはピンボールにじゃない、俺の人生にだ!

そう気付く一連の場面は屈指の名場面であり、そのセリフは名台詞だらけです。何度読んでも熱く心が震える。


毎回のようにピンボールの場面は熱い場面ばかりです。
その流れも演出もセリフも、好きだから楽しんでいるから、だから本気になれるんだというシンプルな、でもだからこそ強い情熱に溢れているんですよ。
シンプルだからこそ自然に読み手の心にも浸透してくる。魂が震える。
それは何よりも大切で強い原動力なんですよね、”好きな気持ち”っていうのは。



FLIP-FLAP」はラブコメです。
恋しているのは好きな女の子にであり、ピンボールに。
恋する対象は人だけじゃないんですよ。だからこその熱いラブコメになっています。


揺らせ、俺の心にハッジングだ!