両想いなのに失恋…すれ違い続けるラブストーリー - リカってば!(3)



リカってば!(3)/長谷川スズ(Amazon)


読んで思わず恋愛がしたくなるような気持ちにさせてくれる恋愛漫画は、その読者にとって素晴らしい作品であると言う他ありません。


私にとって「リカってば!」はそういった作品のひとつで、恋愛したい!恋いしたい!という気持ちにさせてくれます。
それはもう、毎巻のように、本誌連載でも毎話のように!
いやもう、ままならない恋愛模様なので「リカってば!」みたいな恋愛をしたいわけではないのですが、そのままならなさにドキドキヤキモキジリジリするんですよ。
ままならないすれ違いっぷりが切ないんですよね。
3巻でも大いにすれ違っていて、胸がきゅーっとなります。



まんがタイムジャンボ連載という、4コマ誌において4コマではないストーリー漫画である本作は非常に素晴らしいラブストーリーを展開しています。
青年漫画よりかは少女漫画、オフィスラブでありながらとてつもないピュアさは女性誌よりもジャンボにあっているんですよね。
ジャンボは「朝倉さん」が看板なので、芳文社の4コマ誌の中でもオフィスもののイメージが強いからかなぁ。



高身長で竹を割ったような性格のリカと、ちっこくて可愛い几帳面な塚田を中心とした恋愛模様は3巻でもすれ違い続け、恋愛漫画として高みに近づいている感すらあります。


リカは羽鳥に、塚田は安曇さんに告白された2巻。
塚田がリカを好きなことを知っていてなお、好きだと言わずにいられなかった安曇さんが可愛すぎるんですが、塚田は真剣な気持ちで安曇さんを振りました。
羽鳥に告白されたリカは悪い気はせずとも迷い、塚田に好きな人がいることを知って彼に迷っていることを相談しようとした矢先、後押しされてしまい…
…塚田!ヘタレ!でも、素直になれない気持ちはわからなくもないよ。


それで塚田が好きな自分の気持ちに気付いたリカでしたが、同時に振られたと思い(そりゃ当然思うわな)、実は両想いなのに、どっちも告白してないのに2人とも振られたと思う事態に。
あー!なんだこのままならなさ!すれ違いっぷり!
この漫画はこれが良いんですよ。この胸が締め付けられる感じが。



失恋して沈みまくる塚田の姿は、失恋するとこの世の終わりみたいになるよなぁとヒシヒシと思わされます。
ダメ元で好きだと言ってしまったら友達にも戻れない。でも、塚田の好きな人が誰かは気になるからそれを聞いてしまうリカ。
リカのその気持ちは当然ではあるんですが、実は塚田の好きな女性が自分だと思うのは自惚れだとしか思っていないその行動は無神経なものになってしまっています。
塚田の方も同様にリカが自分を好きだとは思っていないので、邪険に対応してしまうのが切ない。


一旦は羽鳥と付き合うことにしたものの、塚田のことばかり考えてしまうことからリカは別れようとするも、ここでもタイミングが合わず。
言えず、会えずに日々が過ぎていく中でも考えるのは塚田のことばかりなのは、これが恋心だよ!いわんばかりですね。
リカと距離を取るようになった塚田も、同じく告白されてから距離を置くようになっていた安曇さんとまた少しずつ距離が縮まっていきます。


本命がいるものの成就しないと思い込み、別の人と距離が縮まっていくリカと塚田。
好きな人に、他に好きな人がいると知っていても諦めきれずにアプローチする羽鳥と安曇さん。
相変わらず、素直になればくっ付きそうなリカと塚田ですが、それぞれがそれぞれに”付き合っている相手の影”が見え始めたものだからまた切ないんですよね。
見ているこっちの胸が苦しくなるんだよなぁ。



本誌連載が不定期なのですが、続きが非常に楽しみな漫画ですよ。