この世に不思議なことなど何もない - 魍魎の匣(2)



魍魎の匣(2)/志水アキ 原作:京極夏彦(Amazon)


京極堂シリーズといえば、言わずと知れた京極夏彦氏のミステリ小説であり、「魍魎の匣」はシリーズ2作目の作品。
タイトルに妖怪の名を冠し、妖怪・民俗学などの要素が濃い一方で、京極堂こと中禅寺秋彦の「この世に不思議なことなど何もない」のセリフはあまりにも有名といえましょう。


というわけで、漫画版「魍魎の匣」2巻です。
すんごい久しぶりだと思っていたのですが、1巻から半年しか経ってないのですね。
そして原作自体はかなり前で、オチは覚えているものの細かい内容は忘れてしまっているところも多く、読み進めるごとに思い出されていくのが楽しく感じました。



収録は2話分で1冊という、1話のボリュームは十分すぎる程で変なところで途切れることもないのは純粋に嬉しいものです。
原作小説が面白いのは読んだことがある人ならご存知の通りで、漫画版「魍魎の匣」は原作の雰囲気を漂わせているかなりデキの良いコミカライズです。
その理由のひとつが、1話あたり約110Pというボリュームにあると思うんですよ。
京極堂が話始めるとかなり長くなり、あたかも問答のようになりますしね。
ヒキなどを気にすることなく、存分にそれが楽しめます。


そう、第参話は京極堂が登場するんですよ!
1巻の終盤で描かれた眩暈坂には、思わず「うわー!うわー!」と言ってしまった程で震えがきたものです。
その眩暈坂を登ったところにいる、鋭い目つきに不適な表情の男はまさに京極堂
基本的に古本屋から動くことなく話を聞き、腰を上げるのは事件解決の時なんですよね。
節目がちで目が泳ぎ、辛気臭く不健康な関口ともども雰囲気は十分です。
鳥口君の口癖の「うへぇ」も懐かしい。
千鶴子さん、美人すぎる。



第参話は京極堂、関口、鳥口によるバラバラ殺人事件、及び、御筥様の事件の話。
第四話は木場修が遭遇した柚木可菜子殺人未遂・誘拐事件とバラバラ殺人事件の共通点に、薔薇十字探偵社に持ち込まれた案件の話。
何で1作目である「姑獲鳥の夏」ではなくて、2作目の「魍魎の匣」がコミカライズなんだろうと思いましたが、木場修をはじめとして関口・榎木津・京極堂の4人の出番が多いですし、事件のリンクも面白かったっけ。


第四話の終わりらへんで、探偵・榎木津礼二郎がついに登場し、3巻も楽しみです。
美形、変人、探偵物として反則級な特殊能力持ちの榎木津もまた、原作のイメージに合うなぁ。

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志水アキ公式ホームページ@ヒゲズシ


魍魎の匣 1 (1) (怪COMIC)
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京極 夏彦
角川書店
おすすめ度の平均: 4.5
5 匠の技
3 人間って本当に恐ろしい生き物だなと。
5 素晴らしいコミック化
3 こわすぎました。。
5 原作のイメージを大切に、マンガならではのアレンジもOK