和月版フランケンシュタイン、「エンバーミング」1巻起動!



エンバーミング -THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN-(1)/和月伸宏(Amazon)


フランケンシュタイン改造人造人間である!


人間の死体と、推定12.1ジゴワット以上の落雷電流、0℃以下の環境。
かの有名なフランケンシュタイン博士の知識をまとめた禁書に、実験を行えるだけの資金・設備…。
これらを持って造まれるのが和月版・フランケンシュタイン


ジゴワット”って”ギガワット”のことだったんですね。【ジゴワットとは - はてなキーワード
映画に明るくないから気付かなかった。
こういう遊び心も和月先生らしいなぁ。今作も単行本で各キャラの設定や制作裏話が満載で嬉しいですね。



というわけで、和月伸宏先生の「エンバーミング」が延期を経て、満を持しての単行本発売です!
読切版の2本も収録されると思っていたんですが収録されてません。でも、やっぱり面白い!



※以下、ネタバレを含みます。



1巻はヒューリーの旅立ちまでをまるっと収録している形なのでキリが良いです。
連載版の主人公であるヒューリーも、読切2本の主人公も、同列の扱いで活躍していくとのことなので楽しみでなりません。
1話の扉でジョン・ドゥ、エルムとアシュヒトが描かれていて、開始時点で主人公格の登場人物が他に2組いるというのはワクワクします。
登場する前から主人公クラスのキャラクターがいるのがわかっているのは思いのほか面白いと感じました。
読切を読んでいた人ならば性格もわかっていますしね。
現在の連載分ではエルム・アシュヒト組は登場しましたがジョン・ドゥは出てきていませんし、まだまだ直接対峙するのは先になりそう。



旅の馬車が襲われ周囲の人が死んでしまった中、生き延びたヒューリー。
ヒューリーに助けられた少女・エーデルは辿り着いた先のワイス家の養女に、絶望し生を諦めていたところをヒューリーに引っ張り上げられたレイスはヒューリーと共にワイス家の猟場番に。
ようやく出会えた復讐の相手は人間とは思えない規格外のバケモノになっていて、ヒューリーとレイスは致命傷を喰らってしまいます。
次にヒューリーが目を覚ましたのは、下着姿に白衣という娼婦か女医か判断に迷う美女・Dr.ピーベリーのところ。
エロいよキレイだよエロいよ。
そして、ヒューリーの前に現れた死んだはずのレイスは復讐すべき相手と同じ人造人間になっていて、新たな復讐が音を立てて動き出したのです。



ちなみに、タイトルの”エンバーミング”は遺体の修復・長期保存の技法。
故人をキレイな顔のまま葬りたいという遺族のために、死化粧を施すエンバーマーが登場する漫画も多いです。
エンバーミング」では、死んだあの人を生き返らせたいと願う想いから、遺体の修復と存在を保つために人造人間として仮初の命を与えるという意味合いがこのタイトルから感じられます。
しかし、死んだ人間は生き返らない。
外見は生前と同じでも、心までは元に戻らない。
性格の豹変、記憶の崩壊。
中にはその両方を併発する「壊れた」個体も存在するそうな。
この”併発”がちょっと気になったところで、初めから「壊れた」ヤツもいれば、徐々に「壊れて」いくのもいるんじゃないかなぁ。
レイスなんかそうなりそう。


『この「エンバーミング」という漫画では人が死にます。』と和月先生が書かれているように、人が死にます。容赦なく。
設定的にも、復讐や狂気に彩られたキャラも、到底、大団円なハッピーエンドになるとは思えない。
だから主人公クラスがぶっ壊れていく可能性も考えられますし、週刊の方でできなかった「薫の死」のような展開もあるでしょう。
多少なりとも規制は緩くなったはずで、本領発揮といえるような面白い展開を期待せざるを得ません。



何はともあれ、人造人間と人間のパートナーのコンビが3組、それぞれの目的で行動し交錯するだろう展開を追いかけていくのが楽しみです。

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おすすめ度の平均: 3.5
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3 意外とオモシロい

武装錬金 (10) (ジャンプ・コミックス)
おすすめ度の平均: 4.0
5 もっと続けばよかったのに
5 時代のあだ花
5 ここにきてようやく
5 おもしろい
5 もっと愛を込めて!!

パイロット版「エンバーミング -DEAD BODY and BRIDE-」を収録。