今月の百合姫感想 - 百合姫S VOL.6



百合姫S VOL.6(Amazon)


百合姫S」のVOL.6が発売されました。
なんか今回の表紙は色味が今までと大きく違う感じがして新鮮です。
髪の色、服の色が基本的に同系色で、色の種類が少ないからそう感じるのかな。
こういうのも良いですね。



今号は、いづみやおとは「死神アリス」と、直江まりも「The Nightmare after school」で初登場の作家さんがお二方。
どちらもヤンデレだったりホラーだったりと、ちょいと血生ぐささのあるファンタジー風味。
バリエーションが増えるのは良いことで、無印の百合姫との差別化、萌え系統の雑誌としてのさらなる特化といった感じでしょうか。
個人的にはファンタジーではないヤンデレ百合もちょくちょく読みたいところです。



ところで、12月に百合姫Sの作品のコミックスが出るとのこと。
石見翔子先生の「flower*flower」、高木信孝先生の「カシオペア・ドルチェ」、椿あす先生の「HONEY CRUSH」、すどおかおる先生の「オトメキカングレーテル」の4作です。
「オトメキカングレーテル」は今号は休載なんですが、1冊分のページ数あったんだ。確かに1話のページ数多いもんなぁ。
何はともあれ楽しみですよ。



※以下、連載分のネタバレ含みます。

夕立気分 / 吉富昭仁


いつもながら、吉富先生の百合は最高です。


百合姫Sの作品は夏を舞台にした作品が多く、今回も夏。
そして田舎の自然。
薄着の女の子が、照りつける太陽にじっとり汗ばむ手を繋いで歩く姿は距離がすごく近く感じられます。
手を繋ぐ以上に密着するのはさらに距離が縮まって良いですね。


今回はキス止まりのカップルの話で、ちっこくて女の子らしさの強い娘の方はその現状に不満と不安を感じています。
関係を進ませたいんだけどロマンチックなところに連れて行ってくれない、どうにもはぐらかされている気がする。
特別な距離の近さはあるんだけど、壁があるという。
カッコイイ娘の方も不安がちゃんとあって、ちっこい娘の方が精神的に攻になっているのが良いです。

flower*flower / 石見翔子


巻末コメントに大いに納得。女の子の裸は正義。
大部分がお風呂のターン!
女の子同士だからお風呂で問答できるなんてステキです。


前回で朱が女の子だとニナにバレてしまっての今回。
沈みまくる朱に怒るニナ。
波乱や障害は関係を盛り上げるものです。
信頼していただけに、理由はどうあれ隠し事されていたのは寂しいもの。
隠し事が重要なことであればあるほど裏切られたと感じてしまうよなぁ。それも自分だけが知らなかったんだから。
ニナは悪くないよ、王族でも同性結婚できる朱の国が百合的にステキなだけだよ!


口論とすれ違いの後、ニナの態度が急変したのは嫌われまい、捨てられまいと思っての行動なのかな。
ニナは悪いことを企めるタイプではないはず。
女装の兄の言う、ラマが「朱を裏切っている」はなんだろう。
ラマが密かに朱を思いつつ、兄と関係してるとかかな。

鎖はもういらない / 倉田嘘


百合姫Sが誇る次代のエース、というアオリがあるとおりに毎回のようにクオリティが高いですね。
それだけに作品の路線が百合姫Sの色と違うのが際立っている気もしますが、面白いので全く問題ありません。
今回は社会人2人、上司である先輩と部下である後輩がメインということもあって百合姫の方が合っている気がするのは確かですが。


社会人百合は大層良いものです。
恋人でもある後輩を可愛く想い、守ってきたはずが裏目に出てしまっていて、何とかしようとしつつも気取られまいとする先輩の葛藤と茫然自失が良いです。
後輩の方は後輩の方でそんなに弱くはなくて、先輩と離れたくないと力を発揮。


社会人がメインだと自分の行動に責任がありますし、恋愛と生活が繋がっている感が漂うのも良いですね。