死にたがりドSが悪人を懲らしめる痛快な漫画 - トクボウ朝倉草平(2)



トクボウ朝倉草平(2)/高橋秀武(Amazon)
葉隠荘の事件簿(作者サイト)


警察を舞台にした漫画は数あれど、他に類を見ない尖った設定が光る「トクボウ」。
ドSで死にたがりの警視が主人公です。
口癖は「あー、死にたい」
個人的に今連載されている警察漫画でトップクラスに楽しみにしています。



この漫画の一番の特徴といえば、何といっても主人公の朝倉草平でしょう。
彼の魅力が面白さの大部分に直結しているとさえ言えます。
朝倉の所属は、警察庁生活安全局特殊防犯課指導係。
略して特防。階級は警視です。


警察庁は警視庁とは別物で、警察庁の公式サイトによると

広域組織犯罪への対処などについて都道府県警察を指揮監督する国家公安委員会管理の特別の機関。

とのこと。
警視庁は東京都におかれている警察本部で、他の都道府県の警察と同列だそうです。
警察庁は地方単位の警察を指揮監督するんですね。国単位という認識でいいのかな。



で、朝倉草平です。
この男がことあるごとに死にたい死にたいと言うダウナーな男。
しかし無気力なわけではなく、悪人に対しては容赦のないドSでもあります。
”行政指導”と称したお仕置きで、権力を持ったムナクソ悪い悪人どもを懲らしめる様は痛快の一言。
そしてそれは身内をも含みます。
ただし、悪人ではない彼の身近な人も地味にイジられます。
くたびれたサラリーマン風でいて、ドSメガネなギャップが堪りません。
行政指導のために銃火器も使いますが、メインの獲物は縄に違いない。
彼が多用する縛りは亀甲縛りです。

大物組織と女っ気のアップが2巻の見所

1巻はほとんどが1話完結形式で色んな人物に行政指導してきたのですが、2巻では続きものの話も多くなり大物組織が登場してきました。
その組織”ツルイ警備”は警察上層部にも強い影響力を持つ人物がトップにいるため、警察も迂闊に手を出せないどころか天下り先確保のために事件をもみ消す始末。
ツルイ警備の息がかかった組織に単身のりこみ、行政指導をするために色んな意味で大暴れする様は数話使った話だからこその面白さがあります。


行政指導される側に権力があればあるほど痛快なんですよね。
軍人は選民だと、時代錯誤な勘違いした軍人を懲らしめる話は1話単体ですが爽快さがありました。
1巻で行政指導してMに目覚めさせたお嬢と責めたてるのがまた。
他に対してはSなのに、朝倉にはMなのが非常によろしいかと。
でもヒロインは叶さんです。


朝倉の上司の叶さんが可愛いんですよ。
典型的なツンデレで朝倉に化粧品とかをパシらせる女性なんですが、朝倉が動きやすいように考えて仕事していて、時折見せる乙女な表情が可愛いのです。
口元のホクロが色気を漂わせているのはもちろん、小柄ながら大きな胸を包む警察官の制服に色気を感じてやまない。
本誌では完全なデレを見せ、典型的なツンデレだと解っていても萌えてしまうこの可愛さ。
特防課は2人しかいないのかが気になるところですが、3巻が楽しみです。



女性キャラだけでなくサブキャラ、そして指導される立場の人間もアレな感じでキャラが立っています。
結構時事ネタを織り交ぜていて、ケータイ小説スイーツ(笑)、製造日偽装食品に派遣会社の労災隠しなどなど、変な方向へのズレっぷりハマる人には堪らないノリ。
女体盛りならぬ、男体盛りをうめーうめーと食べる男達という発想はなかなかできないと思います。

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葉隠荘の事件簿
高橋秀武先生のサイト


トクボウ朝倉草平 1 (1) (ジャンプコミックスデラックス)
高橋 秀武
集英社
おすすめ度の平均: 5.0
5 害虫だらけの世の中
5 特殊防犯課指導係を略してトクボウ