「サナギさん」最終巻。ありがとう、出会えて良かった。



サナギさん(6)/施川ユウキ(Amazon)
真っ白な原稿の上で、俺は爪を切った。(作者サイト)


サナギさん、最終巻です。
終わらないものなんてないんだけど、ずっと続くとどこかで漠然と思っていて、続いて欲しい漫画でした。
チャンピオンに「サナギさん」が載っているのが心の清涼剤で、4コマ誌とかではなく他ならぬチャンピオンに連載されていたのがまた和み要素でした。



サナギさん」に限らず、施川先生の漫画は連想が続くことが多くてその連想が凄い。発想が天才的です。
サナギさん」においても、うぬぬと唸るような連想と言葉遊びが楽しいです。
なんでも楽しむことができるサナギさんを見ていると、こちらも笑顔になります。
同時発売された「12月生まれの少年」も読了したのですが、明るさと雰囲気の柔らかさが違うのはサナギさんのポジティブさあってのことでしょうね。



フユちゃんをはじめとした友達との掛け合いは楽しくて、読んでいてゲラゲラと笑ってしまうことも多々あります。
サナギさんが何でも楽しめる子だとしたら、フユちゃんは発想が斜め方向に凄い子で、もう2人のやりとりが楽しいのなんの。
和む和む。
何も用意しなくても、そこにあるもので十二分に楽しめる2人を見ていると幸せな気持ちになります。
これが友達なんだなぁ。
何だかんだで一緒にいるタカシ君とサダハル君も同様で、どつき漫才の域に達していて良い友達ですね。


サナギさんの凄いところは、誰といても場を明るくできること。
なんでもかんでも踏むマナミさんもサナギさんといると生き生きとして楽しそうです。
いや、生き生きとしてるのは何かを踏んでいるからか…。
物事に考えを巡らせるハルナさんが結構好きなんですが、1人で深く考え込む彼女の想像に孤独感や不安を覚えることもありました。
そんな彼女もサナギさんと話をしている時には楽しそうに見えたものです。



最終回は、終わりを連想させつつも変わらない日常が続いていくと思える良い最終回でした。
それでも、紙面を通してサナギさんを見ている読者としては終わってしまう切なさは拭えません。
ずっと覚えておくことしかできないんですよね。
そう思えるくらい良い漫画でした。
ありがとうサナギさん、出会えたことが嬉しい。



それにしても、6巻の表紙は秀逸ですね。
夕暮れ時の切なさと、「また明日」っていう別れ際に続いていく日常を感じられます。