”おひとり様”から気付く、大切なこと - おひとり様物語(1)



おひとり様物語(1)/谷川史子(Amazon)


おひとり様。
独身だったり、恋人がいない人のこと。
おひとり様物語」は、そんな”おひとり様”の女性を主役にしたオムニバスです。


…と思っていたら、3話で彼氏と同棲している女の子が主役だよ!
続いて、4話も遠距離恋愛中の女の子で彼氏持ち。
あとがきで谷川先生が書かれているのですが、「心の距離が遠い」や「物理的に距離が離れている」なども含むそうです。
確かに、”一緒にいても心が通うこともなく気持ちがバラバラ”なのは全くの1人者よりも辛いかもしれません。
何にせよ、ガチガチに決まったテーマよりも融通の効くものの方が幅が広くて読者として楽しみです。
谷川先生の短編は面白いものなぁ。



おひとり様物語」の女の子は、独身であったり、何年も彼氏がいなかったり、はたまた失恋したばかりであったり、前述のように同棲しているもののすれ違う日々が続いていたり、遠距離恋愛でなかなか会えなかったりと、それぞれにそれぞれの”おひとり様”状態。
彼女達は20歳以上で、大学生の娘もいますが、成人としての人生経験を積み重ねてきています。
1人に慣れていて1人が楽な人もいれば、結婚に憧れている人もいます。
立場や状況は様々でそれぞれ違うのですが、ふとした時に孤独を感じることも。
自分は孤独なんじゃないかという感覚、よりかかるだけで他人を思いやっていなかったこと、恋人を信じられない不安…。


それらの不安が誰かの言葉なんかがキッカケで払われて、目の前が明るくひらけて前に進む活力になっていくのが良いんですよ。
恋の予感や、失恋から立ち直る力、夢ややりがいに繋がるものなど、それは千差万別です。
”おひとり様”って単語が色恋を連想させる言葉なので恋愛事は少なからず絡みますが、明日に繋がるものが必ずしも恋愛絡みではないのが面白いところ。
結婚を選ばなかった人もいるし、そもそも作ろうと思っていない人もいます。
そういった、大人の女性が何かのキッカケで選んでいく姿がどうしようもなく良いんですよ。


欲しいのは、恋人や結婚相手じゃなくて、”たった1人の大切な人”なんですよね。
もしくは、恋人よりも自分にとって”夢中になれる輝く何か”。
いいなぁ、そう思える相手と出会いたいものです。
谷川先生の漫画は前向きだから好き。安心して読めます。