過酷な運命に抗う姫の、中華大河ファンタジー - 女王の花(1)



女王の花(1)/和泉かねよし(Amazon)


先日「めちゃめちゃ面白いんだけど、続きが描かれるかは1巻の評判次第だから読んで!」とオススメされて、買って読んでみました。「女王の花」。


なるほど、強烈にオススメするだけあって面白いです。
中華ファンタジーもので、1巻の段階では序盤も序盤。
真価を発揮するのは2巻、もしくはそれより先になりそう。
ああ、もう!先が気になる!


むかしむかし、亜・曾・黄・土の4つの国があり、国と国は争っていました。
亜の国の王は黄と土の国から妃を迎えており、黄妃との間には姫を、土妃との間には王子を授かりました。
亜王の正妃は黄妃でしたが、病弱だったこと、土妃が後継者となる王子を産んだことから、黄妃は亜王の興味を失うばかりか幽閉同然の扱いを受けていました。
それは姫である亜姫も同様で、姫とも思えぬ粗末な服に何もない部屋で黄妃と暮らしていました。
正妃である黄妃を疎ましく思う土妃にいびられる中、亜姫は金髪碧眼の奴隷の少年・薄星と出会い…。


物語の冒頭を要約するとこのようなお話。
姫でありながら宮殿に居場所がない亜姫が、美しい容貌でありながらそれ故に異端視されていた薄星と出会います。
初めて自分を綺麗だと言ってくれた亜姫に薄星は一生の忠誠を近い、味方がいなかった亜姫もまた薄星を何があっても側にいる者として信頼します。
子供の頃のその誓いは、少し年月が経ってからも変わらず、この先のことも含めて2人の関係が尊いものに感じられます。
この2人の関係は「女王の花」のひとつの魅力でしょう。


黄妃の病気に効く丹を手に入れるため宮殿を抜け出し、そこで出会った青徹から学問も武芸も貴族に必要な技芸を全て学ぶ亜姫。
父王から何も与えられず、学ばせられなかった姫は狩りで王子の圧倒し、土妃の鼻を明かす活躍をしますが、それが元で土国の怒りを買ってしまい黄国へ追放されてしまいます。
父に捨てられ、母を亡くし、祖父の治める黄国でも国民に疎まれる始末。
それでも、薄星とともに亜への復讐に立ち上がる亜姫!
死のうとした亜姫を止め、立ち上がらせ、支えとなる薄星との従者を超えた絆に震えがきます。



個人的にファンタジーものや中世などの戦争ものは好んでは読まないのですが、「女王の花」はそんなことは吹き飛ばすくらい面白さでした。
というのも苦手な理由が、馴染みのない地名が覚えられず、戦況が把握できなくなるからなんですが、「女王の花」は4国しかないですしね。
そしてそれ以上に「女王の花」は姫がかっこいい。
望むものの為に努力し、泥に塗れ、苛烈な状況でなお立ち上がる姿は大河ものの主人公にふさわしい。



あとがきで「エピソードの全てをラストにまとめるために構成しています」とあり、こんなに面白いのにまだ本当に序盤です。
1巻表記はあるのですが、和泉かねよし先生は同じ雑誌に「メンズ校」を連載されているので続編の予定は未定だそうな。
女王の花」は連載を休んで描かれたそうなので、うん、続きは評判次第というのも頷ける。
第1話冒頭の年老いた女性の手も思わせるところがあり、どう考えても長編になるだろう漫画…というか、長編になって欲しいし読みたい漫画です。


ところで、続編を希望する声はどこへ出せば良いんでしょうか。


女王の花 1 (1) (フラワーコミックス)
和泉 かねよし
小学館
おすすめ度の平均: 4.5
4 女王の花 1
4 どことなく地味だけど
4 金の髪、天の色の眼
5 先に待ち受けるモノ・・
5 待ってました。