木村紺先生の新機軸、女子高柔道漫画「からん」!



からん(1)/木村紺(Amazon)


木村紺先生といえば「神戸在住」のイメージが強く、「巨娘」を読んだ時は「こんなぶっ飛んだラチガイなギャグも描ける人なのか!」と思ったものです。
そして新作「からん」でまた度肝を抜かれました。


絵柄が!作風が!「神戸在住」とも「巨娘」ともまた違う!


雰囲気は「巨娘」よりは「神戸在住」に近いものですが、人物がリアルめに描かれていることもあってシリアスな印象を受けます。
コメディやゆったりした場面ではお馴染みの木村先生ではあるものの、担任にして顧問の教師の描かれ方といい、試合形式で立ち会った時なんかの空気はピリピリと緊張感があります。
絵柄も作風も、木村紺先生の引き出しの幅が広いことを認識させられました。
そして、これがまた面白いんだ。



「からん」は女子柔道漫画です。
第0話は主人公達の入学前、高校の合格発表を描いているのですが、いきなり登場人物が多い!
一度では覚えられない登場人物達は物語の主要人物となる人達だと思うのですが、舞台である京都だけでなく関東の人間も入ってることに、今後の展開の広がり期待させられます。
第0話はね、モノクロページから入ってカラーになり、タイトルが入る演出がこれまた良いんですよ。



主人公の高瀬雅は中学時代は京都で柔道2位の実力者です。
上下関係に厳しい先輩をあしらう程度の実力ですが、全国区の大石には丸っきり歯が立ちません。
そいで、高瀬はクラスメイトとなった外部入学生とともに4人で柔道部に入部するのですが、高瀬以外の3人は完全なる素人という部内での実力の差がありすぎるのが面白いところ。
半ば強引に柔道部に引きずり込んだ高瀬はクラスメイト達がケガをしないよう、組み手デビュー前に基本を身につけさせようとするのですが、大石が受け身をちょろっとやっただけの練習初日から乱取りと言い出して、2巻に続く。
急ピッチすぎて先の展開が読めず、気になりすぎる!



個性の強い登場人物達の中でも一際気になるのが、高瀬とクラスメイトで柔道部に入部した九条京。
138cm、38kgと柔道をやるには不利な体型でありながら、京舞をやっていたことによる圧倒的な体幹の強さ。
高瀬と初めて出会った時なんかに、2人だけで草原いる描写が入るなど、明らかに他の人とは違うポテンシャルを秘めています。
その草原の描写は心象風景でもあると思うんですが、2人に運命的なものを感じずにはいられず、どういう関係を培っていくのかが楽しみです。
ぶっちゃけ、百合の香りがしないでもない。



メインは柔道になっていくのでしょうけれど、第1話は柔道をやらずにクラスの描写に徹底するなど、学生としての日常風景も楽しめそうです。
そっちでもインパクトが強いキャラがすでにいることですし。


からん 1 (1) (アフタヌーンKC)
木村 紺
講談社
おすすめ度の平均: 4.5
4 柔道部物語なのか?
5 帯をギュッバンブー百合風味