じれったくも、変わりゆく恋愛模様 - イエスタデイをうたって(6)



イエスタデイをうたって(6)/冬目景(Amazon)


月イチ連載ではあるものの、連載再開してからビジネスジャンプで私が一番楽しみにしているのは「イエスタデイをうたって」に違いありません。
ファンなので冬目先生の作品はどれも好きなのですが、特異な設定のない現代日常ものはまた格別の良さがあります。


クリスマスが近づき、リクオの就職が決まっても、榀子とハルを交えた三角関係は特に大きな進展はありません。
あ、浪がいるから三角関係じゃないか。個人的に浪はそんなポジションなんだ。
進展はないと書きましたが全くないわけではなく、むしろ物理的な距離的には離れたりそうでなかったり。
リクオが就職したことが大きく作用して、関係そのものは進展してないように見えて、気持ちの部分では変化が見られるのが6巻なんですね。



リクオが就職したということはコンビニのバイトを辞めたということで、ということは「気楽に行けて、そこに行けば大抵いる」場所がなくなったということ。
好意を伝えているものの片想いのハルにとってこれは厳しい。
片想いだと何かと口実を作っては会いに行きたくなるんだけど、それができないとなると会う機会なんて本当に少なくなってしまうのです。
作中でもそうなんですが、一月以上会ってないですし。
会いたいって理由でサービス業ではない職場に押しかけるわけにもいかないし、環境や立場の変化って大きいんですよね。
積極的に押していたハルも、好きな人の仕事を邪魔はできません。ましてや自宅に行くなんてできない。
距離を一気に詰めて拒絶されたくなくて、でも会えない不安で悶々と考え込んでしまうスパイラル。
モヤモヤするけど、突破口がない。会いに行けば良いことかもしれないけど、拒絶されるのが怖い。
読んでるこっちもモヤモヤします。だって少なからず経験があることだから。そして失敗した記憶が…。



で、想われ人のリクオの方はというと、ハルに会っていないことを気にして、そっからハルのことを少し考えてはいます。
とはいえ就職したことを直接言ってないし、リクオは榀子が好きだからそっちに恋愛的には注力すべきで。
まぁ、リクオと榀子の関係も相変わらずなんですが。
就職したばかりということもあるのか、リクオは恋愛的にあんまり動いてない気がしますが、榀子に対してはリクオに対するハル同様だからなぁ。
断られたとはいえ、友人とのクリスマスパーティーに誘ったのは大切なこと。
動かないとその後の展開もなかったわけですし、やっぱり何かしらアクションを起こさないと、ですね。
二人きりじゃなくて友人夫婦とのパーティー、渡したプレゼントの出所も正直に話してしまった性格もあっての距離感が良い感じ。
約束した正月をどうすごすのか、楽しみ。(私はリクオ×榀子派)



メインどころの3人がじれったいのが「イエスタデイをうたって」の面白さなんですが、モヤモヤするのは確かで、それを吹き飛ばすかのような勢いで浪の友人の滝下が意中の相手にアプローチしているのが妙に和みます。
相手にされてなくて玉砕しっぱなしだけど、彼の恋もどうなっていくのか楽しみにしたいところです。