腹を探り合う嫁と姑の、うまくいってる4コマ漫画 - おかあさまといっしょ(1)



おかあさまといっしょ(1)/小池恵子(Amazon)


オタク・一般人、とりわけ一般人に薦められる4コマ漫画となると、誰が読んでも楽しめるシンプルな面白さはもちろん、雑誌で途中からいきなり読んでも問題なく読める作品になってきます。
それは良い4コマ漫画で、漫画好きも楽しめることでしょう。
小池恵子先生の「おかあさまといっしょ」はそんな良作4コマです。
ただし、老若男女誰でも楽しめるというわけではなく、大人向けと言えます。
だって、嫁と姑の4コマだもの。
「おかあさまといっしょ」の嫁と姑はうまくいってますが、嫁は姑に、姑は嫁に隠れてお読みください。



「おかあさまといっしょ」はもうシンプルに、嫁と姑の腹の探り合い、狐と狸の化かし合い、笑顔で空気はピリピリ張り詰めている漫画です。
端的にこの漫画を表現するなら、こんな感じでしょうか。

「嫁です」「姑です」
(心象風景で落雷やら、殺伐荒涼としたイメージの挿入)
『私達うまくいってます』


怖ぇ!
女友達に職場の話を聞くと、女社会というか女性同士の関係のことを聞いて「女は怖い」と思うのですが、その極みのひとつが嫁と姑なイメージ。
昼ドラなんかの印象が強く刷り込まれているんでしょう。



「おかあさまといっしょ」は、表面上は笑顔でケンカもないのですがそれが逆に恐ろしく、言葉に潜ませた棘や内面から滲み出るオーラからくるピリピリとした空気は周囲の人間を竦み上がらせます。
結構似た者同士の嫁と姑で、テレビを見た時なんかには同じことを考えていたりと、「姑でさえなければ、嫁でさえなければ、気が合う」という関係。
それほどまでに嫁と姑の間には深い溝がある…らしい。


「貸しを作りたい」、「借りを作りたくない」と率先して手伝おうとし、それをやんわり拒否する応酬が繰り広げられ、結果として二人で一緒にするので一見仲が良さそうに見えます。
相手の為になることは「敵に塩を送る快感」を感じ、相手の恥ずかしい場面を見た時は「武士の情け」をかけた優越感に浸るのです。
笑顔でいて、裏には鬼が棲んでいるのが面白い。
二人はうまくいってますよ。



嫁と姑という関係である以上、夫であり息子がいるのですが、彼は長期単身赴任中。
「夫は単身赴任」という設定ですが、さらに一味加えてあって、ほぼ嫁と姑だけで展開できる以上の面白さになっています。
それは「夫がドMで、嫁がドS」という設定。
これにより、夫の単身赴任はおあずけプレイとなって浮気の心配がなくなり、嫁は姑との関係に専念できます。
さらには、離れている寂しさを埋める嫁と夫の電話を、普通のコミュニケーション以上の”電話での言葉責め、調教”に昇華しています。
この夫婦はこれで愛情いっぱいなので微笑ましい。
夫婦間もうまくいってます。



犬猿の仲でありながら、殺伐としすぎない上にそれなりに平穏な同居生活ギャグをしているこの漫画。
現在連載中の4コマ漫画の中でもかなり好きな漫画です。オススメ。