失恋から始まる、ドロドロとした恋愛の駆け引き - 失恋ショコラティエ(1)



失恋ショコラティエ(1)/水城せとな(Amazon)
+水城せとな公式サイト+(作者サイト)


水城せとな先生の「失恋ショコラティエ」は、製菓学校に通う爽太と、彼の想い人で一つ上のサエコを中心とした恋愛漫画です。
もうタイトルからして上手くいく恋愛であるはずなんかなく、1話目にして失恋という展開を見せる物語なのです。
胃が痛い。
というか、サエコが天然悪女なのでイラッときて胸がモヤモヤします。
でも面白いよ。



恋は盲目と申しまして、本気で人を好きになると四六時中その人のことを考えてしまい、変な脳内麻薬が分泌されて思考がそれなりにおかしくなります。
爽太もそういうタイプで、一目惚れしてから想い続けること4年。クリスマス直前にサエコがフリーなタイミングを狙い、ようやく付き合うことができたのでした。
が、その時の初キス以来キスはおろか、その先に進むことはできておらず、それどころか妙に避けられている。でも普通に遊びに行ったりするよ。
僕たち付き合ってるよね?
え?
「好きな人がいる」?
二股?
二股ですらないの?
「エッチしてないし?」?
あはは、何もないですもんね。二股とは言いませんよねー。


サエコ、酷い女…!
そもそもサエコという女は爽太が出会った高校当時から「各学年の一番のイケメンと次々付き合った女」と評判で、それを承知の上で爽太はサエコが好きだったのです。
当然の如くサエコは女子から悪口を言われていたのですが、爽太の目にはそれらの女子の誰よりもサエコがキラッキラと輝いて見えるくらいに好きなわけで。
サエコに近づく為に当時のサエコの彼氏に取り入ってみたりと涙ぐましい努力をしていた爽太の精神は強すぎる。私だったら耐えられない。


そんな努力の末に付き合えたものの、それそのものが爽太の一方通行でこっぴどくフラれ、失意の中単身フランスへと渡り、サエコが大好きなチョコレートブランドの店に押しかけて働けるようになり、否が応にも注目せざるを得ない男になって見返してやると決意するのでした。



そんなこんなで1話目から(ここまでの話は1話)胃が痛くなるお話なんですが、序章にすぎません。
個人的にはラブい話の方が好きなんですが、心かき乱される展開の恋愛物は面白く感じるから人間困ったものです。閑話休題


パリの名店で修行してきたショコラティエ(チョコレート専門のパティシエと思いねぇ)が東京にオープンする店に、とくればメディアが注目しないわけもなく、サエコの目にも止まります。
サエコから連絡がきて「春が来た」と浮かれる爽太。何も変わってねぇ。
サエコの方も軽い女のまま変わってないかと思いきや…私、結婚するの。(軽くネタバレですが、書かないことには始まらないので書きました)
普通ならここで完全に失恋、諦めます。普通なら。
しかし、爽太は普通ではないので諦めません。
サエコの結婚式のケーキや引き出物のお菓子作りを引き受け、関係が途切れないよう、望みを託します。
上手くいっても、不倫。
それだけ本気で好きなんですね。一歩間違えばストーカーです。
本気の恋愛はここまでさせるのか…!



上手くいっても不倫の末、サエコが離婚して結婚?くらいしか結末が思いつきません。エンディングが見えない。
今まで「好き、好き、何でも受け入れるよ」だった爽太が、サエコの気を引き、心に波を立てるように策を巡らしていきます。
ズルくなる決意をした男の恋愛が楽しみ。


楽しみではあるんですがやっぱり個人的には、爽太に想いを寄せる年上の薫子さんに幸せになって欲しいなぁ。
でも、薫子さんやオリヴィエには、サエコが爽太が言うほどキレイではなく普通の女性にしか見えないのに、爽太には妖精とまで言うほどとてつもなくキラキラして見えるから他に目移りするなんて考えにくいのだよな。
そう見えるのは完璧に恋ですね。
先が気になって仕方ないですよ。

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