様々な感情が交錯するリアル系百合「オクターヴ」2巻はレイニー止め



オクターヴ(2)/秋山はる(Amazon)
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レイニー止めかよ!(挨拶)



アフタ本誌の読者には記憶に新しい、2ヶ月前の号の例の話までを収録して「オクターヴ」の2巻が発売されました。
ここで止めるとは、単行本派の方にとってはまさにレイニー止めじゃないか。最近そういう漫画増えた気がする。



はてさて、恋愛漫画は青年誌・女性誌の恋愛漫画とラブコメとで作風が大きく違います。
同様に、百合でもラブコメ等々のノリの違いがあるのですが、その他に系統としてリアルなのか花園なのかとで雰囲気が大きく異なるものです。
あれだ、スパロボで言うところのリアル系とスーパー系みたいなものだ。かえって分かりませんね。


で、「オクターブ」といえば純然たるリアル系統の百合です。
嫉妬や羨望、愛情など感情がドロリとして生っぽく、人間関係も女も絡めば男も絡み、ドロドロしかねない雰囲気が漂っています。
それが面白い。



主人公の雪乃は年上の節子と付き合い始めました。
節子の部屋に入り浸る雪乃は、そこで節子の弟の真利と会う機会も多く、酔っ払って服を脱いだり買出し途中で立ちションした彼の股間を見てしまったりと、男性経験のない雪乃が男性を感じることもしばしば。
でも、雪乃は節子が好き。

恋人を地元に連れては来たものの

節子と付き合い始めた雪乃は、節子が好きで好きで胸が満たされ、幸せを感じています。
人間、恋をすれば精神的に不安定になるもの。
恋人ができたばかりとなれば尚のことで、浮かれっぱなしなのも自然なことです。
そんな折、親友の鴨ちゃんに誘われて地元に帰る雪乃。節子を連れて。
さすがに友達としてだけど、恋人と親友を会わせられる…と思ったのも束の間、見透かされ、現実を突きつけられます。
人は異質なものをなかなか認められないもので、それは突然のことであれば親友でも例外ではなく。
結果的に鴨ちゃんが離れていくことはなくとも、コンプレックスの塊である雪乃は刺激され不安定になってしまいます。


というか、雪乃は本当にコンプレックスの塊ですね。非常に不安定。
それが「オクターヴ」の面白さでもあるのですが。

自分の知らない恋人をしる女性が現れて

地元に帰り、唯一の友達からダメージを受け、そのまま節子が組んでいたユニットの相方・理沙に会ってしまいます。
場所は節子の部屋。
自分の知らない話をしている節子、理沙に好意をよせる真利。理沙に嫉妬する自分。
真利をも取られたような気になっているのは、節子から拡大して節子の部屋、さらには「真利も含めて、3人でいる時の節子の部屋の居心地の良さ」まで、恋人としての自分の居場所と認識しているからでしょうね。
これが進むと真利が他の女に近づくのが許せずに真利の方に流れていく気もしますが、中心に”節子が好きだから”というのがあるからそうでもないのかも、と考えてました。


ともかく、節子と真利を取られた気持ちになった雪乃は、理沙に対抗する気持ちから元・アイドル仲間で現・有名アイドルのミカのライブに行くことに。



オクターヴ」は生っぽさのある百合で、そうなってくると男性の存在が女性同士の関係をより際立たせる形も考えられます。
考えていていつかは来るだろうと思ってはいたものの、いざくると胸がザワザワしますね!並みのヘテロの恋愛での三角関係の比じゃないくらい!
とはいえ、相手がライブ会場で知り合ったばかりの男とは(反転)。予想外すぎる。
雪乃が前より不安定な状態になっていて、節子と携帯のすれ違いがあったとはいえ、行きずりの男とはなぁ。(反転)
実際にどうなっているのかは、本誌の方でもまだわかりません。今月号で描かれる気はしますが。相手は後々の話に強く絡んでくるのかどうか。
胸騒ぎがして仕方がありません。
雪乃は節子が好きだし、節子は男女とも知った上で雪乃が好きだし、一緒にいることを選ぶと思いたい。