判りやすく面白く、成長型弁護士漫画 - そこをなんとか(2)



そこをなんとか(2)/麻生みこと(Amazon)


ローゼンでない麻生先生(作者コメントに書いてあった)の「そこをなんとか」2巻が出ましたよ。
連載中の法律・裁判漫画は軒並み面白い中でも、私は「そこをなんとか」が一番好きです。メロディ本誌購読して読んでますしね。


元・キャバ嬢の改世楽子(らっこ)は服装などから舐められて見られがちで、実際経験もまだまだですが、人情と人懐こさで裁判に挑む主人公。
そして、この漫画には(今のところ)極悪人が登場しないこともあってあたたかさのあるハートウォーミングな裁判漫画になっています。
曰く、諍いの種はどこにでもあり誰でも巻き込まれる可能性がある、と。


裁判漫画はどれも解説文が入るのですが、単行本には実際の取材での出来事の話も入って、元々読みやすい「そこをなんとか」はさらに判りやすく面白いのです。

裁判員制度

2巻では、外国人母の婚外子の認知の話(国籍法)や、裁判員の模擬裁判などちょっと前にかなり話題になった話を収録。
裁判員の話は模擬裁判ってことで、どうやって進めるのか、どういったことが要点になるのかが判りやすいです。
判りやすいと面白いです。
ウチは例の郵送物は届いていないのですが、裁判員は1年毎に選出らしいので他人事ではないんですよね。
一応、軽くでも知識としては知っておきたいところで、作中の模擬裁判員も色々知ってる人から全く知らない人まで様々。
んで、仕事に就いたことがなくて思考停止気味な”善良な”奥様や、精神論重視で男気に溢れ挫折を知る強面の八百屋、医者に心理学者、とちょっと極端なキャラもいますが、その方がかえって面白い。
精神論や感情論だけじゃダメ、物事を色々な角度から見る必要があるのですね。
あと、意見の操作・誘導が怖い怖い。

嘘つきの被告弁護

2巻後半の話はひき逃げの被告の弁護。
初めての私選弁護で浮かれるらっこですが、示談交渉で足繁く通う被害者のやりきれなさに、むしろ被害者を応援したくなります。
これがまた被告がいい感じに反省の色はなく、被告の祖母や被害者、らっこ達弁護士といった周囲の人が様々な人や考えに触れて成長していく話になっているのが面白い。
弁護士としての仕事と、一個人の意見はまた別なわけです。
最終的には、被告とひき逃げ時に同席した人達は墓穴を掘って胸のすく結果となって良かった、良かった。
らっこが被害者としていたコミュニケーションも無駄ではなかったですし。