両想いで擦れ違う、「ささめきこと」は見せ方の構成も上手い。



ささめきこと(4)/いけだたかし(Amazon)
いけだの国(作者サイト)


アニメ化決定おめでとうございます!
青い花」のアニメ化決定といい、これはアレですか。百合オタへのご褒美ですか。
良いアニメになるといいなぁ。そして百合がもっと盛り上がるといい。大きなブームにならなくてもいいから。


青い花」同様、「ささめきこと」は連載中の百合漫画の中でも良い作品ですもの。
序盤で百合っ娘であるヒロインの風間汐が女装子を好きになるといったヤキモキもありましたが、今では主人公の純夏との関係に注力されてきており毎月楽しみで仕方がありません。



3巻のラストで純夏に抱きつき、純夏への想いを意識し始めた風間。
直後に風邪で倒れた純夏は記憶が曖昧でも気が気でなく、風間の方は過去の経験と重なって、純夏とはずっと友達だと言います。


好きだから。
大切だから。
誰よりも大事だからずっとずっと…友達。


ああもう!この切なさときたら!
風間が純夏に好きと言えない原因は、過去に親友に告白して「気持ち悪い」と拒絶されたこと。
記憶の中のその親友と純夏が、ダブる。
だから、風間は同性が好きだと比較的オープンにしているというのもあるのかも。オープンなら知った上で近づいてきてくれる女の子がいるかもしれませんし。


純夏の方は、風間が同性愛者であると知っているものの、彼女の好みのタイプに対して自分が対極と言っていい程に外れていることから告白できないのは語られてきた通りで。
両想いなのに伝えられない、言ってしまえば関係が壊れてしまうとお互いに思っているんですね。

ささめきこと」は見せ方が上手い

”両想いなのに認識のズレで擦れ違う”というのは恋愛漫画におけるひとつの盛り上がる展開で、「ささめきこと」の見せ方はかなり丁寧です。
二重、三重に第三者を介入させてちょっとした三角関係を重ねて、ここまで持ってきました。


4巻の前半も、風間が純夏に抱きついた夜とその後の間に、朋絵とみやこの話が入り、連載では「この良い所で!」と思ったものですが、直後のトラウマ回想と何もなかったことにされた結果を見るとこれはこれで良かったのかも、と思います。
朋絵とみやこという二人の気持ちの理解者がいるということ、同性同士で上手くいっている実例として、それまでハッキリとは描かれてこなかった風間の本音の吐露(トラウマ付き)へのクッションになっています。
純夏と風間の行く先には明るい可能性もあるんだよ、と二人が行っているかのようで。
もちろん、焦らしとしても効果がありました。19話は。



「ずっと友達」宣言してこれからどうなる?と思いきや、過去編へ突入。
ここからいいところなのに!焦らしだよ!


…と過去編が始まった時に思ったものです。
お互いに打ち明けられない両想いになった、このタイミングで純夏の風間への想いの掘り下げ。
1話目からずっと描かれてきた純夏の気持ちを、友達の状態から恋だと気付いて諦めに至るまでを描きます。
しかも4話分。
連載では正直「長いよ!」と思ったものですが、こうして通して読むとすごいドキドキします。丁寧だ。
そして、描き下ろし分の現在の二人が切なくて、さらにドキドキ。


つ、続き…!続きはまだですか!