同人誌分と描き下ろしを収録した「真空融接」最新刊、「真空融接 春」



真空融接 春/びっけ(Amazon)
未来圏工房(作者サイト)


「真空融接」の新刊単行本が出ましたよ!


「真空融接」は、商業誌に掲載された分を収録した上巻とすべて描き下ろしの下巻が単行本として出ていまして、番外編が同人誌で続いていました。
そして、その同人誌分の話3篇に描き下ろしを収録したのが「真空融接 春」です。
単行本になるとは思っていなかったので、発売予定表見たときはビックリしました。
私は「春」に収録されている同人誌はコミティアでたまたま3冊とも入手していたのですが、そんなことは関係なく嬉しい!
だって、好きな漫画なんだもん。本棚に並べて置けるんだもん。描き下ろしが36ページもあるんだもん。
オリジナルの同人誌は面白い作品が多いので、こうやって単行本になって出るのは嬉しい限りです。



B's-LOVEYレーベルの単行本ということから分かるように、BLです。
とはいえソフトなBLで、それ以上に設定を活かした”大切な人との関係の、様々な形”を描く漫画として面白い。


設定として、舞台となる国には”供給者”と”補給者”という体質があって、補給者は供給者から力を貰わなければ生けていけず、供給者は補給者に力を吸って貰わないと自身の中で作られる力が溢れすぎて生きていけません。
力の受け渡しは、唇から。
この国の人は幼い頃に、国が各人のデータから選んだ波長が合う者同士をパートナーとします。
パートナーは運命の相手で、パートナー以外とは十分に力の受け渡しができなかったり、気持ち悪くなったりと支障がでたりします。
通常のパートナーは男女ペアなのですが、稀に同性同士がペアになることもあり、主人公ペアは男同士となっています。



本編が一段落しているからか、4本とも主人公のアレクシとラエル以外のペアがメインとなって描かれています。
個人的には親の話が2本あって嬉しい!
下巻の「記憶の残響」を読んでから、父親・フロランと同性のパートナー・ジル、母親のイルゼの3人が好きなのです。あの話は親世代が好きになるってものです。
イルゼは残念ながら登場しないのですが、アレクシ達が幼い頃のフロランとラエルの母親の話、ジルと幼いアレクシの話は胸が温かくなりました。
母親と離れてしまっていても、そこに家族はあるんだよ。



描き下ろしは、ある事情を持った男女のペアの話でこれがまた良かった。
「真空融接」は供給者・補給者の特別な関係性から男女のパートナーはそのまま結婚することが多いのですが、そんな中での同性同士であったり、境遇であったり、大多数の”運命のペア”でない人達にスポットを当てることで人間関係を際立たせて描いているように感じます。
特別な相手だからといって、関係に胡坐をかいていてはいけないし、不安を感じないわけがないんですよね。
そんな当たり前のはずのことが、こんなにも面白い。
もっと読みたい。

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