自衛隊×ファンタジーノベルの良作コミカライズ「ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり」1巻

フランさんに「ゲート面白いよ!原作小説は手が出しにくい人でも、コミカライズも面白いから漫画版もオススメ!」と薦められ、出版社はアルファポリスというところで全く馴染みがなかったのですが、コミカライズ担当が竿尾悟先生と聞いて読んだ漫画版「ゲート」1巻が面白くてまんまとハマってしまいました。
来月に2巻が出る!やった!続きが気になってるんだ!
マイナーな出版社だけに「人に薦めてファンを増やして売れないと続きが読めないかもしれない…」という不安が出てくるわけで、私も感想記事を書いている所存でございます。



タイトルにもなっている”ゲート”はそのまんま”扉”の意味。
突然銀座に現れた扉からモンスターを含めた軍隊が侵攻してきて、多数の民間人が犠牲に。
扉は異世界に繋がっていたのです。
その驚異に対抗するため、また異世界の資源などを確保するなどといった目的から扉の向こうに自衛隊を派遣し調査を行うことになった、というのが概要でしょうか。



中世ヨーロッパのような文明の異世界自衛隊という現代文明の軍隊が行くという、圧倒的な技術力の差があるために、向こう側の人の軍隊では話にならない戦力差があるのですが、そこはファンタジー世界。
中世ヨーロッパと違って様々な種族がいて魔法もある。
圧倒的な技術力を持ってしても苦戦を強いられるドラゴンのような種族もいるわけです。
「1巻の見所はドラゴン戦」と聞いていただけのことはありました、ドラゴン戦。


当然ながら、単純にそういった現代技術でファンタジー世界を戦うだけの話ではないのが面白いところ。
原作者が元自衛官ということもあり、ミリタリー知識がない私でも軍事的な行動原理などに説得力を感じましたし、作画はアワーズ読者ならミリタリー描写に定評があることでお馴染みの竿尾悟先生ということで楽しく読めます。
竿尾先生ファンタジーもお好きなんですね。


今のところ”扉”は日本の銀座にしかないため、異世界の資源や土地を狙ってアメリカや中国の暗躍の兆しが見えたり、逆に日本側もこちらの世界情勢で優位に立つために調査と現地人と友好な関係を築こうという意図があります。
異世界の帝国もまた政治的な意図を持て向こう側の勢力拡大のためにも動き、自衛隊は帝国との戦闘をする一方で現地の村や町の住人と良好な関係を築くためドラゴンから守ったり支援したりと、思惑が交錯しているのが面白い。
現地の盗賊団が街に攻め込んで、帝国側の一部と自衛隊が接触し始めて先が気になるのであります。



RPGなどと違って漫画のファンタジーだと街や村も普通に襲われるし、盗賊は略奪・陵辱を繰り返すし、(原作読んでないのでメインキャラがこの先どうなっていくのかは知らないのですが)メインキャラは別として人はバシバシ死ぬシビアなハードさがあります。
個人的にファンタジーの下衆はとことん下衆なので、実のところそういう部分は苦手なのですが、自衛隊が主人公ということでファンタジーが苦手でも楽しめる漫画じゃないかと。
逆に、馴染みのない地理での戦況が把握できなくて戦記物が苦手な部類でもあるのですが、今のところ異世界の地図を把握しなくてはならない展開でもないので、戦記物が苦手な方でも楽しめるバランスなんじゃないかと。


原作小説の単行本が1冊あたり結構な分厚さだけに、「漫画版はどこまで続くのだろうか…」という想いもあります。
漫画版「皇国の守護者」のように原作では序盤に当たる段階で終わった例もありますし。(あれはまた別の理由ですが…)
気になった方は是非読んでみてください。