春夏秋冬



春夏秋冬 限定版/蔵王大志 原作:影木栄貴(Amazon)
春夏秋冬 通常版(Amazon)


BL作家の蔵王大志先生と影木栄貴先生による百合漫画。
蔵王先生は、つだみきよという別ペンネームでも活躍中です。



編入生に、女生徒に人気が高く女好きなタイプな生徒がちょっかいをかけ、その後くっつくカップル2組と、教師のカップルの話を収録しています。
生徒カップルはドタバタで勢いがあり、教師カップルの方は重め。
若い時は幻想に包まれていて、大人になると幻想は打ち砕かれるものよのう。



胸を揉むスキンシップがある漫画なのですが、最終的には肉体関係にまでいくので妙に色気があるような。


まず1話目にあたる、はるかとあきほの話。
ナイチチのはるかは、ふとしたキッカケで触れた他人の胸に衝撃を受け、以後胸を揉みまくるエロオヤジ化した美少女。
編入してきたあきほは、編入して初めて声をかけてくれたはるかと仲良くなり、その容姿と中身のギャップを好きになり、友情以上の感情を抱くようになります。
で、あきほは他の女の子の胸を触るはるかを見る度に、嫉妬。


その後、気持ちが通じて両思いになるワケですが、胸を触ってカップル成立なんて羨まし過ぎる。



2話目「オンナオオカミ」では、男性恐怖症の編入生・冬華に、真性レズで”オンナオオカミ”の異名をもつ夏姫が襲い掛かる話。
襲われ「男より怖い」となり、お互い男性恐怖症ゆえに理解し、女だから「お互いを傷つけずにすむ」と受け入れるのでした。



似たような二組ですが、最後まで自分で持っていったはるかと違い、夏姫は過去の体験から一線を越えれずにいます。
「逆襲の赤ズキンチャン」では、触れてこない夏姫の気持ちがわからなくなった冬華は、同じような境遇のあきほに相談し、あきほがあるアクションを起こします。
冬華の葛藤が百合として良くて、気持ちが同じだと判りいざエッチ、となれば攻めに回る冬華が良いですよ。


どちらかと言えば少年的立場で、積極的で直情的なはるかと夏姫は単純で子供、大人しく受け身なあきほと冬華の方が大人。
大人しくみえる方が激しい感情を持っている。
それはノーマルカップリングでも多くみられる要素ですが、最後までいっちゃう百合でも雰囲気を楽しむ百合に比べて多いと思うんですよ。
いや、最後までいかなくても多いか。
最後に収録されている「彼女」でもそうなんですよね。篭絡て!



3話目にあたる話として収録されている「First Kiss」。
この話が「春夏秋冬」の中で漫画として一番好きです。
男が絡んでくるので、百合漫画としてはまた別ですけど。


女なのに女を好きになってしまった---その葛藤が百合の醍醐味のひとつ。
女を好きになったことを悩まずとも、女を好きになったことにより生じる葛藤や感情も百合の醍醐味。


高校時代に二人の世界を過ごしたものの、大学に進学してそれぞれの人間関係を築き、片方には彼氏もできた。
誰よりも彼女を知っていたのに!誰よりも一緒にいたのに!
不快感と絶望に苛まれる、女同士ゆえの昏い感情。
この漫画も良い百合漫画だと思うのですが、この辺は人それぞれの百合感があるので好き嫌いはあるでしょう。


「あなたとキスしてても思い出すのは別の人なの」
このセリフは、深い絆であり呪いだよなぁ、と読んでました。
恋愛はそういうものかも知れませんし、大人がメインキャラだからこその重さでしょうね。



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