いつになく漫画仲間が欲しくなる巻でした - 金魚屋古書店(5)



金魚屋古書店(5)/芳崎せいむ(Amazon)


漫画好きであれば誰もが「こんな店が近所にあれば!」と憧れるであろう、金魚屋古書店
漫画好きにとって、新刊を読む度に共感を受け、自分の中にも新しい発見をさせてくれる作品です。



何がいいって、登場人物はどっぷり浸かった漫画バカだけでなく、漫画とは無縁の仕事をしている漫画好きがメインキャラとなっている話が多いのが、身近に感じられていいじゃないですか。


今回は5巻の、一漫画バカとして「いいなぁ、羨ましいなぁ」と思った場面の感想を。



■思い入れのある漫画で酒が飲めたらいいよね。


第29話の自動車会社の営業二人が、酒を飲みながらジョーのラストの解釈を巡って口論、殴り合いに発展する場面。
熱い!
殴り合いになるくらい思い入れがある漫画があり、口論になったものの、その漫画で語れる相手が身近にいたというのは幸せなことですよね。


意見が違ってもトメさんの言う通り、それぞれの解釈があっていいと思います。

漫画の世界に正誤なんて関係ないだろ。
自分の中のジョーを大切にしてやればそれでいいんじゃないか。

個人的にはトメさんと同じような感じで、「キミはそう思うんだね。でも俺はこう思うんだ」という考え。
相手の意見を受け入れた上で、自分の意見を言ったほうが見解も広がるし、よりその作品を楽しめると思うんだけど、いかがでしょうか。
もちろん、斜めから見た解釈や、妄想を語る時には注意が必要です(笑)



■”漫画好き”とは何ぞや?


第30話の”漫画好きアイドル”のレイカが金魚屋を訪れる話。
レイカは「漫画好きなんかじゃない」と言います。


そんなレイカに斯波さんは「”漫画好き”ってどんなのなの?」と問います。
漫画好きに限らず、”○○好き”ってなんでしょうね?


レイカの返した答えは、「名作漫画をたくさん知っているとか、漫画に対してしっかりした考えを持っているとか、すっごく漫画に詳しいとか…」
多くの人の考えもこうじゃないかと思います。
私の考えの中にもこういったイメージは多くあって、偏って漫画を読んでいるのでコンプレックスを感じます。


でもそうじゃないんですよね。



「一作の漫画、一本の漫画、一冊の漫画、漫画の一ページ、漫画の一コマに、どれだけきもちを寄せているかって事じゃないかなあ…」
斯波さんの考えはこう。


読んだ時、何か解放された気持ちでした。
好きな漫画に思い入れがあって、好きと言える気持ちが大切。

オタク疲れを感じませんか?

まさにオタク疲れのように「あれもこれも読みたい!でも読む時間が足りない!ムキーッ!」ってなっていた自分がどこかにいたのですが、もう少し気楽に考えてみよう。


オタクになりきれない中途半端な奴って苦労するよな

とはいえ、”漫画好き”レベルではなく”漫画オタク”のレベルの人になるとそうは言ってられないのが事実。
もっと読みたい、もっと深く知りたい、という欲求は出てくるものです。
困ったものです。



■漫画好きが集まるアットホームな空間が羨ましい。


第34話で、買い物をしていた菜月さんたちが、笹山さんやねこたま堂の野本さんに偶然会う場面を見て、言いようもなく羨ましくなりました。
彼らは金魚屋を通じて知り合った仲で、他の常連さんもそう。
第33話で、麻生大臣を彷彿とさせる山室代議士がくつろげる安全な場所として来たのも金魚屋でした。


漫画に囲まれて、漫画好きが集まる居心地の良い場所。
もの凄く憧れます。
いいなぁ。



金魚屋古書店 5 (IKKI COMICS)

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