”よだれ”で伝わる想い - 謎の彼女X(2)



謎の彼女X(2)/植芝理一(Amazon)


謎の彼女X」の2巻が発売です。
アフタヌーンは購読して読んでいるのですが、まとめて読むとやっぱり面白くてニヤニヤしてしまいます。



このお話は高校二年の椿明と、その彼女の卜部美琴の恋愛を描いた漫画。


タイトルの通り、卜部は謎に満ちた彼女です。
無愛想で人と関わることをしたがらない性格で、傍目に見てミステリアスな少女。
外見的にも前髪で目が隠れていて表情が読めない、という描かれ方がされています。



■”よだれ”を通じて伝わる想い


椿と付き合うようになったキッカケは”よだれ”
卜部のよだれを舐めて禁断症状を起こした椿に、卜部がよだれを舐めさせるという行為が日課になっています。
特別な存在だから、”よだれ”を通じてお互いの感覚を伝えることができるという植芝ワールド。


”よだれを舐めさせる”行為に倒錯した性を感じますが、それが”自分の感じていることを相手に伝える手段”であり、精神的に深い部分で繋がっている演出になっているのが面白いところですね。
恋愛に関しては、歳相応の性的な興味を持っているものの「純粋な恋愛」。
一般の感覚からすれば変態漫画なんでしょうけど、植芝理一先生の漫画好きなんだもん、この漫画が爽やかにすら見えるのは普通ですよね?



■パンツ・ハサミ


あと忘れてはいけないのは、「パンツ・ハサミ」。
パンツに挟んだハサミによる技は凄まじく、看板をバラバラにする程の威力です。


発動されるのは椿が卜部に妙なことをした場合が多いのですが、発動した時にはパンツが見えるんですよ。


第11話で、冬服になった卜部のよだれを舐めて、今までにない妙な興奮を覚えた椿。
その理由はスカートの中*1にあり、読んでいるこちらもかなり意外で興奮を覚えるものでした。
だから、パンツ・ハサミで危険な目にあってもまた見たいと思うのは、男として自然。*2


この話が単なる「スカートの中が見たい!」というだけの話ではなく、「卜部の冷たい手を椿が温める」という話でもあるのが、この漫画がただの変態漫画ではない面白さですね。



■謎の彼女の、新しい一面


卜部は謎の多い女の子です。
それが少しずつ、「どういう生活をしているのか」、「どんな考えをしているのか」が垣間見られます。


現実に、男にとっての女性は謎が多い存在で、それを極端化した存在が卜部なんじゃないかなぁ。



「友達はいらない」と言っていた卜部と、クラスメイトで彼氏持ちの丘が友達になります。
丘も卜部と何かが繋がっているらしく、”よだれ”で感覚の伝達ができます。


”よだれ”で感覚の共有ができる”異性”が恋人であるなら、同性は”親友”のメタファーなんだろうなぁ。
丘の存在は、謎の多い卜部の一般的な感覚*3とのズレと、同性からみた”卜部の謎でない感覚”の明示の役割を果たすんじゃないかと思います。



とはいえ、椿によだれを舐めさせている場面を見て友達になりたいと思ったからといって、丘が平然とよだれを舐めたり舐めさせたりする感覚は、やはり植芝理一先生の漫画だと思いました(褒め言葉



■既刊レビュー
謎の発熱 - 謎の彼女X(1)


■関連
謎の彼女X (2)フラン☆Skin
なぞの彼女X 2巻発売 「エロイ 僕らの日課。彼女のよだれを舐める(笑) 指も舐める。」せなか:オタロードBlog


謎の彼女X(2) (アフタヌーンKC)

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*1:ネタバレになるのでアレなんですが良いですよね、ガーターベルトって。

*2:こういうのもパンチラっていうんでしょうか?教えてパンツの偉い人

*3:あくまで植芝作品内での一般的な感覚で、社会的な一般性とは異なりますが。