悪魔、茶道部に入る。 - お茶にごす。(1)



お茶にごす。(1)/西森博之(Amazon)


お茶にごす。」の1巻が発売ですよ!



「悪魔」と恐れられる船橋雅矢・通称「悪魔(デビル)まーくん」が高校入学を機にそれまでの暴力の日々から足を洗うと誓い、優しい心を持つロハスな男になる為に茶道部に入部する漫画。
ヤンキー思考の男が茶道部、というギャップや解釈の仕方が面白く、また茶道の心に感動を受けて変わろうとするまーくんが面白い。



西森博之先生の漫画は不良がメインキャラであっても、泥臭く退廃的なイメージが薄いのが良いですね。
サンデーの雑誌のカラーというのもあるでしょうが、軽く明るいノリや絵柄によるところが大きいのだろうなぁ。
あとはアレだ、夜が漫画のメインの時間帯になってない、主人公が集団じゃない、暴走族やアングラ要素が薄いといったことがあると思います。



主人公のまーくんは、悪魔のような雰囲気を持ち、キレやすく、やられたらやり返すような性格。
本人は「暴力の連鎖を断ち切りたい」と思っていますが、その外見や知れ渡った「悪魔まーくん」の噂から喧嘩を売られること多数。
しかし、強すぎるくらいに強く、悪魔のように容赦がなく相手に恐怖を植え付けて返り討ちにします。
そうして本人の望みとは裏腹に暴力の連鎖から抜け出せないのでした。


高校に入学し部活勧誘がさかんなある日、誰もが避け目すら合わさない中で、茶道部の部長だけが声をかけてくれて「外見で判断してはいけません」とまで言ってくれたことに感銘を受けて入部。
入部後も心優しい部長の言動に感動し、部長のようになろうと決意。
また、他の部員から「問題を起こしたら叩き出す」と言われた事もあって、不良に絡まれても逃げ続けます。



この不良、というかメインで出てくる悪者が気持ちいいくらいのクズな悪者。
こいつが「まーくんを倒して名をあげよう」と手を出してきます。
平和な男でありたいと思うまーくんは争いを避けるのですが、他人が酷いことをされてブチギレ。
全く躊躇のない悪魔の如き仕返しが、悪者が感情移入のできないクズだからこそ、スカッとしカッコイイのです。
一番のクズ野郎は茶道部顧問で、いつかヤツをギャフンと言わせて欲しいと思います。



確かにまーくんのやったことは普通に見れば「悪」なんだけど、やられた弱者にとっては「自分のためにやってくれたこと」で、「悪魔」の噂とは裏腹に普段のまーくんが変で結構イイ奴。
茶道部から追い出そうとしている部員みたいな外見と噂で判断している人達と、まーくんの人となりを多少なりともみて判断している人達との評価の違いがこの漫画の面白いところでもあります。
で、返り討ちにあった不良の人達にすれば、外見と中身は一緒という(笑



茶道部の部長・姉崎奈緒美も、初めこそまーくんをみてガクブルと少し震えていたものの、「一期一会」の話でまーくんが素直な反応をしてから普通に接しているのは内面を見て判断したからだろうなぁ。さすが茶道部部長。
まーくんは悪友の山田曰く「人の話をまったく聞かない」と評されていますが、聞く心構えさえあれば割と素直な心を持っている気がします。
しかし、この部長できすぎだなぁ。連載分含めても、まだまだ描写が少ないから何とも言えない部分ではありますが。



まーくんをある部分では信頼している熱くなりやすい山田、直情的で自分の正義に基づいて行動する狂犬のような女・夏帆、調子のいい歳相応な感じの智花など、他のキャラもいい感じに動いてくれそうでこれからも楽しみです。



お茶にごす。 1 (少年サンデーコミックス)

お茶にごす。 1 (少年サンデーコミックス)