戦国物の皮を被った妖怪バトル少年漫画! - 戦国妖狐(1)



戦国妖狐(1)/水上悟志(Amazon)


水上悟志先生の「戦国妖狐」の1巻が出ましたよー。
タイトルまんま、戦国時代の妖怪ものです。
1巻の内容ではまだ戦国時代の史実に絡むこともなく、ご本人が時代考証無用…というか、よくわからず描いていてファンに怒られそうと書かれていますが、面白ければ漫画好きとしては問題ありません。
むしろ正義。


短編集のコメントなどから水上先生は妖怪はかなりお好きみたいなので、この「戦国妖狐」には期待せざるを得ません。
主人公も、後々に重要に絡んでくる異形の妖怪も、一捻り効いた設定と演出が良いです。
熱いですし、「実は○○」っていうのにビックリ。
他の作品でもそうですが、思い入れを注いで人外キャラを描かれているイメージがありますよね。



戦国妖狐」は、迅火とたまの義姉弟が主人公です。
迅火は仙道で、たまは妖狐。
見た目は幼女のたまは人間好きで、闇(かたわら=妖怪)・人間問わず悪党を懲らしめる世直しの為に旅をしています。
元人間の迅火は過去の出来事から人間を嫌い、人間をぶっ飛ばしつつ、たまの力になっています。それとは別に旅の目的もありますが…。


「一見、頼りなさげな優男に見えるが実は強い」というのは少年漫画のひとつの王道で、迅火はそのタイプです。
単体でも強いのですが、たまと力を合わせてさらなる力を発揮するのも王道な熱さがあるといえましょう。
力を合わせて、というのは少し語弊があるかな。
仙道とはいえ人間の迅火が、たまの血を吸い、精霊に近づくことで闇に近い力を得るというものなので。
迅火が精霊転化している間、たまは人に近づき力が弱まるという制限があります。
やはり単純なパワーアップよりも、制限があった方が熱いですね。
パワーアップ条件に制約あるのも良いですが、迅火とたまの場合はプースター的なパワーアップなので制限もありますし、パワーアップそのものにデメリットがついてまわるのが燃えます。



迅火とたまの2人がメインですが、成り行きで行動をともにすることになった2人の活躍にも期待。
1人は、元農民であるが故に侍や権力者に虐げられない力を求める浪人の真介。
彼は基本的にヘタレですが、やる時はやる男で人間味溢れるもう1人の主人公といった感じ。
たまのセリフにあるように、負の感情が大きな割合を占める迅火に対して、精神的な影響を与える指針となるポジションでしょうね。
もう1人は、ネタバレになるのでアレですが、人間でありながら迅火とは全く異なるプロセスで、在り方も全く違うけれど半人半妖といえる存在。
在り方も、考え方もそれぞれに違う4人が交錯していく、と。



戦国物というよりも妖怪ファンタジー少年バトル漫画とのことなので、熱い展開を楽しみにしています。
コメディ要素は少なめなんですが、城が巨大ロボット風だったりとさり気なく笑えるけれど熱い、っていうもの良いですね。
…笑いどころじゃないのかもしれませんが。